Episode 022
遥と光(中編)

music:[Happy Happy Love]


前回までの『L.D.C.』

 人間界で生活をしていた南龍助は、魔界から来た少女、麻宮朱里と出会う。そして、一度は魔界に二人は引き離されたのだが、仲間と共に魔界を旅して立ち向かい彼女を取り戻し、再び人間界で夢を追いかけることになった。
 
 実と龍助の軽音楽部に武司や光が遊びに来て、音楽を楽しんだのだが、光と武司が喧嘩をしてしまう。光は遥が、武司は裕二が支えになって、それぞれが落ち着きを取り戻した。
 
 反省してしょんぼりしている光を励ますために、遥は思わず罰ゲームと称して光に街のスポットを案内する様に言ってしまう...。

イラスト:hata_hataさん

 休みになって遥が家を出ようとしたら、光が待っている。
「さ、佐伯君!」
「お迎えに参りました。お嬢様方を。」
 光が遥の肩に停まっているリコにウィンクすると、リコがぽっとなる。
「め、メールの約束では、駅前から道を一本奥に入った目立たない場所での待ち合わせだったでしょう!」
 光と二人での買い物で照れくさくてなるべく目立たないようにしたい遥が言うと、光が背負ってきたギターを見せる。
「そうなんだけど、悪い。こいつを、またちょっと修理しなくちゃいけなくて、一色を誘ってから、楽器屋へ寄って、その後に街でショッピングだとありがたいなぁ、なんて。それに、一色も歌が好きだって、言ってたろ?楽器屋の近くのCDショップへも寄ってみようかと。」
「CDショップへも行くの?まぁ、だったら…。良いわ。」
 遥が少しうれしそうにする。買いたいCDがあったのもそうだが、まだ龍助達が時々行くという楽器屋へ入ったことが無かったので、一度入ってみたかったのもあった。
 
 
 楽器屋へ着くと、すぐに光が修理受付のカウンターへギターを持っていく。兄の形見のアコースティックギターはもう買い換えた方が良いぐらいになっていたが、修理をしては彼は使い続けてきたのだった。遥は入り口付近の楽器売り場を見渡してから、ゆっくりとギター売り場の方へ歩いて行った。彼女にとって初めての楽器屋は何を見てよいのかわからず、所狭しと並べてある様々な色や形をしたエレクトリックギターを眺めていた。
 光が弦をついでに購入して遥の元に戻ってくる。リコは縫いぐるみのふりをして遥の鞄から顔だけ出して店内に流れている音楽を聴いていた。
「悪い。遅くなっちゃって。こないだも修理してもらったんだけど、今度はフレットの箇所を少し。あ、それはピックだよ。」
 遥がギター売り場の中にあるピック売り場で、様々なピックを触っていた。
「これって、ギターとか弾くのに使うのでしょう?」
「あぁ。エレクトリックギターの演奏で使われることが多いね。アコースティックギターでは指だけで弾く時もあるけど、ピックを使う時もあるよ。材質や形も色々あるから選んだら、その小さな皿に入れてレジカウンターへ持って行って精算するんだ。」
 
 ピック売り場の横においてある小さな皿を持って遥に見せる。
 ピックには、正三角形に近いおにぎり型の様なもの,二等辺三角形に近い涙の形の様なティアドロップ型,五角形の様なホームベースの様な形だけでなく、ピックにリングが合体しているような指を固定する感じの物まである。同じティアドロップ型でも大きさも様々である。
 また、素材もプラスチック系やセルロイド系の合成樹脂だけでなく、ゴム系や鼈甲系やメタル系の素材まで様々な物が存在する。
 同じ様に見えるピックでも、硬さは薄い『THIN』,中間の『MEDIUM』,硬めの『HARD』,更に硬い『HEAVY』や『HARD』,それ以上に最も硬い『EXTRA HEAVY』等があり、形状や硬さ等でそれぞれの弾き心地や音色も違ってくる。
 カラーも様々で、ミュージシャンのロゴなどが入ったデザインの物まである。
 ギターを弾くギターリストやベースを弾くベーシストは、好みや演奏時のプレイスタイルに合わせてピックを使い分けたりすることもある。
 
「そうなの…。可愛くて綺麗な色の物もあるのね。あたしも1つか2つ買ってみようかしら。」
「え?ギターでも始めるの?」
 光が遥にピックを入れる皿を手渡すと、遥が水色の綺麗なピックを持って首もとのアクセサリーの辺りに持ってくる。
「違うわよ。なんか可愛い形してるから、手作りのアクセサリーのパーツにでもならないかな?って思ったのよ。」
 感心しながら光もピックを探す。
「お、なるほど。イヤリングとか携帯のストラップに取り付けても面白いかも。リコにネックレス代わりでも可愛いかも。」
「でしょう?」
 遥は水色のピックを2つとリコの額の宝石の様なものの色に近いピンク色のピックを選んだ。
 
「よし、じゃぁ、俺も一色と同じのを1つずつ買ってみよう。あ、俺にその皿を貸して。」
 光は遥からピックの入った皿を手にすると、レジカウンターへ行って支払いを済ませて帰ってくる。そして、小さなラッピングされた紙袋を二つ遥に手渡した。
「ここのお店の店員さんと仲良しなんだ。ラッピングを無料にしてもらった。一応、水色2枚がこっちの袋で、ピンク色1枚の袋はこっち。俺のはラッピング無しのこれ。で、水色は一色へのプレゼント。ピンクの方はリコへのプレゼントだ。この間、世話になったし。ありがとな。」
 光が頭を下げる。
「え、良いの?お金だったらあたしが払うのに。」
 遥が戸惑うと、鞄から顔を出しているリコが遥に小さな声で言う。
「遥様、光様のプレゼントですわ。ありがたく頂きましょう。」
「そ、そうね。ありがとう。」
 リコも小さな頭を可愛く下げて、にっこりする。
「ありがとうございますですの。ぽっ。」
「どう致しまして。じゃぁ、CDショップへ行くか?」
 光がリコの頭をなぜてあげて、遥に言うと、遥は店内を見渡してお願いする。
「少しだけ楽器店を案内してよ。普段、佐伯君や龍助や伊集院君がどんな来てるお店でしょう?」
「あぁ。良いけど。」
 実が良く練習に来るドラム売り場や、武司や龍助が来るシンセサイザー等の売り場、そして、ギターやベース売り場。それほど大きい楽器屋ではないが、一通りのものは揃っているようだった。
 

イラスト:hata_hataさん

 すると、ギター売り場の奥から涼が出てくる。
「あ、あんた。確か、龍助の知り合いの涼…さん。」
「R.!」
 光と遥が涼を見て驚く。
「なんだ、ディオールのお嬢様と人間か。」
 涼の手には黒い豹の子供の姿をしたデニーが大人しく抱かれていた。
「それは?」
 遥がデニーに気付いて涼へ尋ねる。
「デニーだ。この第二の『L.D.C.』のクリスタルに宿る召喚獣の一つだ。」
「初めまして。デニーと申します。」

イラスト:hata_hataさん

 デニーが頭を下げて挨拶する。涼の胸元には『L.D.C.』が輝いていた。
「悪いが、俺は失礼します。」
 そう言って店を出ようとした時、振り返って涼が尋ねる。
「お前達や朱里に異世界から何者かが接近しなかったか?」
「いいえ、特にあたしは感じないけど。」
 遥が答えると、涼が少し考えた後で口を開いた。クラシスやミストスとは朱里や龍助達は海で出会ったが、遥と光はその頃海で別行動だったため会うこともなかった。
「だったら良い。お前達には用がないのかもしれない。だが気をつけることだ。お前と同じ氷属性者の男が人間界に訪れている。天使族かもしれないが、侮れない。」
 涼はそれだけ言うと立ち去った。
 
「何かしら。氷属性者の天使族って。あの言いようだとR.にもまだ何者なのかも分からないようね。気をつけましょう。佐伯君も以前渡したディオール家の宝具を…。」
「これだろう。」
 ディオール家の宝具の一つであるピアスの片方を着けてみせる。これは、以前、龍助達が魔界へ朱里を取り戻しに行く時に、人間界で留守番をしていた光に遥が念のために護身用に持たせた者だった。魔族が近づくと魔力を察知してピアスが輝く。魔族から察知されにくくなるという力もあった。もう片方のピアスは遥が自分用に持っていた。遥も取り付ける身に着ける。
「お二人でお揃えですわね。リコはうらやましいですの。」
 遥と光のピアスを見てリコが言うと、遥が真っ赤になって言う。
「こ、これは、念のための護身用なんだから。べ、別にペアルックなんかじゃないの!」
「あ、そう言われてみればペアルックか。なんかデートみたいだな。」
 光がギター売り場の鏡に映った遥と自分を見ながら言うと、遥がますます真っ赤になる。
「リコも佐伯君も要らないこと言ってないで、さっさとCDショップへ行くわよ。その次は駅前のお洒落な洋服やアクセサリーのお店。」
 遥があたふたすると、光とリコが笑う。
「了解!リコにも可愛いアクセサリーが見つかると良いなぁ?女の子だもんな。」
「ハイですの。」
 すっかり、仲良くなった光とリコのペースに振り回されて遥がにっこりしながら呟く。
「もう、佐伯君とリコは…。」
 
 
 CDショップでは、遥が買いたかったCDを数枚購入する。
「なんだ、一色はCD派なんだな。てっきりダウンロード派かと思っていたぜ。」
「どっちでも良いといえば良いんだけど、CDの方がCDジャケットがあって飾っても楽しめるじゃない?勿論、オンラインのダウンロードは聞きたいと思った時にすぐに購入できるからそれも便利だけど。」
 遥が、ジャケットを見ながら言う。
「俺もジャケット買いする時あるなぁ。自分のまだ知らなかったロック系の女性アーティストのCDが試聴機にあって、ジャケットがかっこよかったから聴いてみて買ったこともある。後、チラシに載っていたジャケットを見ただけでこれだ!って思って買ったこともあるよ。当たり外れはあったけど。」
 光の話に遥とリコが笑う。
「結局、CDって音だから、試聴しない限りどんな感じかも分からないから、CDジャケットって結構重要なファクターなんだよね。聞いてみたいと思わせるジャケット。あれも良さそうだから試聴してみよう。」
 CDの視聴機の前に行って遥が試聴する。カップルが二人で試聴できるように、二つヘッドフォンがつながっていたので、光も試聴する。
「う~ん。いまいちかな。」
「そうだな~。一色が好きそうなのだと、キュートな感じはあれとかどうかな?」
 光が別の試聴機を指差す。可愛いジャケットのCDが積んである横に試聴機もある。光の薦めのCDを試聴すると遥は指でリズムを刻みながら聞いていた。
「うん。これも買うわ。こういうの好き。佐伯君は私の好みが良く分かったわね。」
「ま、まぁな。またCD買いに行く時は付き合うぜ。」
 光が鼻の下を人差し指でこするように照れ隠しをすると、遥が礼をいう。
「ありがとう。」
 
 CDショップの店内のスピーカーからは[Happy Happy Love]がBGMとして流れてきた。
 
「好きよ!
あなたのことを いつも感じていたい
世界が 今 輝いて見えるから
Happy Happy Love
 
早く行こうよ!街に出かけよう!
青空とあなたが眩しいから...」
 
 遥は小さく口ずさみながら光とCDの並んだ棚を一緒に見て回る。
 
「ドキドキしてる?勇気を出して もっと
見つめていたいよ ずっとあなたのことを
好きよ!
 
手を繋ごうよ いつも放さないでね
私のこと つかまえていて欲しい I Love You!
二人でいると こんなに楽しいなんて
あなたと 今 同じ時を感じて
Happy Happy Love」
 

イラスト:hata_hataさん

 光がCDショップのカウンター横の方を指してから、遥の手を握って走り出す。
 そこはCDショップにあるグッズ売り場のスペースだった。ポスターを見たり様々なアーティストのTシャツやマグカップ,カレンダーなどのグッズも置いてあり、散策する。Tシャツを光が数枚手にとって自分の身体に当ててみると、遥とリコがファッションチェックしたりした。遥の鞄の中から頭を出していたリコは明るく笑う遥を見ていたが、リコの額に飾られたクリスタルがそっと輝いたのだった。リコもにっこり優しい眼差しで遥と光を見守った。
 
 
 その後、駅前のお洒落な雑貨店でアクセサリーを見たり、ブティックで綺麗な洋服を見たりした。そして、フルーツやカラフルなソースで彩られた美味しいクレープを購入して食べたりした。その頃には光と遥はより仲良くなっていたのだった。
「で、そろそろランチだけど、一色とリコは、お洒落なお店と、こだわりのラーメン屋みたいなのとどっちが良い?」
「う~ん。迷うなぁ。お洒落な感じも好きだけど、あたしとリコだけじゃ普段行けない様なお店も気になるわ。ねぇ、リコはどうかしら?」
 迷った挙句、遥がリコに尋ねる。リコはドキドキしながら光を見ていう。
「リコですか?私は、普段、光様の食べていらっしゃる物も食べてみたいですの。ぽっ。」
「ハイハイ…。」
 遥が呆れながら言うと、光が笑う。
「よっし、リコのために俺のとっておきの中華屋さんに行こうか!」
「ハイですの。遥様も宜しいでしょうか?」
 ぽっ、となっているリコが遥に伺いを立てる。
「勿論。」
「松本と料理の勉強をしている一色も満足するぜ、きっと。」
 
 光が遥達を連れてきたお店は、駅から一筋離れたところにあるお店だった。地下に降りていくと、店員に光が言う。
「3名分お願いします。」
「はいどうぞ。後はご自由にお楽しみくださいませ。」
 中華の料理の皿が並んだスペースを通り抜け、机に誘導されると、皿とコップが置いてある。店員が去っていくと、椅子に座る。
「ここは、夜は普通に一品ずつ注文する中華のお店なんだけど、昼間はランチバイキング形式なんだ。いろんな中華が楽しめて良い所だぜ。ちょっと場所が分かり難い所なんだけど、逆に知る人ぞ知る穴場的なお店だから混んでなくて比較的待たずに食べれるし。」
「あっ、あれ!飲茶とかまであるの?蒸篭があるわ。」
 店をクルクルと見渡しながら遥がワクワクしながら光に尋ねる。
「そうそう。色んな種類があるし、デザートだって、杏仁豆腐やゴマ団子やフルーツまであって女の子にもお勧め。」
 光が説明するとリコが目を輝かして言う。
「リコ、杏仁豆腐好きですの!」
「あたしも!」
 遥も負けずに言う。
「それは良かった。さっき、クレープを食べたけど、甘いものは別腹っていうし。」
 光がまず手本として、皿一杯にいろんな種類を持って帰ってくる。さすがに適応魔法をかけない状態でリコが動き回るわけにもいかないので、光の上着の中に入って服の間から覗く形で中華を選んで光に皿に入れてもらった。遥も色とりどりの中華を楽しんで選んでいた。食べる時は、光と遥の影にリコがなるように座ってカモフラージュする。
 遥もリコも光の話を聞きながら美味しく楽しい一時を過ごした。
 
「もう俺はお腹一杯。」
 光が沢山食べた後で、箸をおく。お腹を押さえながら満足そうにしている光を見ながら遥とリコが杏仁豆腐を食べている。
「あたしも。恵も今度呼んであげたいわ。あ、でも、もう1回だけ杏仁豆腐を食べようかな。」
「リコもお願いしたいですの。」
 それを聞いた光がさっと立ち上がって言う。
「OK。俺が二皿持ってくるよ。待ってな。」
 光はおっとりとした龍助と違い細やかな配慮が出来る性格で、遥もリコも改めて感心していた。遥とリコが中華で満足した後は、また街でウィンドウショッピングする。
 
 
 少し暗くなってきた時に、遥が指を指した。
「あ、あれは?前から気になっていたの。」
「お、観覧車だ。そうか、まだ一色は観覧車に乗ったことないのか?魔族だもんな。」
 遥は光に少し気を許せるようになったようで、普段であれば知らないことをつっぱって否定していたかもしれないが、素直にうなずいた。
「うん。」
 光が腕時計を見て空を見ながら言う。
「もう少し夜になるとライトアップされて街が綺麗で良いけど、今乗ろうか。また別の楽しみが出来るし、一色さえ良ければ、また一緒に来れば良いし。」
 光達が観覧車に乗った。ゆっくりと回って少しずつ街が見渡せるようになっていく。
 
「もう、リコも出てきても誰も見てないから大丈夫じゃないか?」
「そうね。リコ出てきても良いわよ。」
 遥の鞄から出てきたリコがうれしそうに小さな翼でパタパタと飛んで光の肩に停まる。

イラスト:hata_hataさん

「街が見渡せますの。あちらは、先日遊びに行った海ですわ。」
「楽しかったわね。海って初めてだったけど、ボディーボードやスイカ割りも体験できたし。海の景色もとっても綺麗だった。」
 海の思い出を思い出しながら遥も少し立ち上がって海の方を眺める。
「一色の水着も綺麗だった。」
 光がふと口にすると、遥が真っ赤になって聞く。
「本当?変じゃなかった?」
「あ、あぁ。勿論。輝いていたよ。パレオも似合っていたし。」
 光がリコをなぜてあげながら言う。遥がほっとした感じで、ストンと座り込む。
「良かった~。正直、恥ずかしかったんだ。朱里っておっとりしている割に結構大胆なところがあるから、あの水着を薦められてドキドキしちゃった。」
「まぁ、俺達男連中もある意味ドキドキしちゃったけど。みんなで行くと夏の海は楽しいよな。」
 二人が笑うと、リコもにっこり目を細めた。
 
「あっちは、今日行った楽器屋で、もう少し手前がCDショップで、こっちが駅前の雑貨店。」
 光が遥達に街を上空から紹介する。
「じゃぁ、あっちが学校で、あの辺があたしの住んでいるマンションだわ。」
「そうだね。その前の家が龍助の家で、もう少しこっちに来ると俺んちで、あと、あっちが実の家の方かな。松本の家はここからも庭が大きく見えるあの豪邸だ。」
 それを聞いてリコが言う。
「遥様のお父上のディオール家の豪邸もすごいですわよ。」
「俺もいつか行ってみたいよ。まぁ、なかなか異世界を行き来するのは許されないんだろうけど。無許可で人間界へやって来た朱里も魔界の兵隊に連れ戻されたぐらいだから。人間界の人間って誰に許可を得れば良いんだ?」
 光が頭をかしげると、遥が答える。
「あたしも分からないの。魔族の権限はディアブロ王が判断されるんだけど、そもそも人間界で異世界の存在を知っている者の存在自体があまり知られていないから。」
 すると、リコが遥の膝元に飛び降りて二人に話す。
「リコがディアブロ様の御側に御仕えしていた頃に人間界にも異世界のことを知っている者がいると一度お聞きしたことがありますの。でも、詳しくは分かりません。それに機密だと思われるので、知ることも難しいと思われます。」
 リコの話を聞いた光が少し残念そうにしたが、その後、遥とリコを見て話した。
「そうだよな。あんまり異世界を往き来して、万が一何かあったら人間界も混乱しちゃいそうだ。キメラや魔獣なんかが迷い込んで現れると普通の人間だったらおかしくなっちゃうかも。予め話に聞いていた俺ですら、びびったぐらいだから。今は、朱里も人間界で会えるし、リコやリラにも会える。それに一色にも。それで俺には充分だ。なっ?」
「佐伯君…。」
 遥が呟く。
 
 その時、遥の瞳に夕日がオレンジ色に輝きを増す。海がキラキラと輝いてまるで黄金の砂漠のように見えた。
「綺麗だね。リコ。」
 しばらく、二人と一匹は夕日をじっと見つめていた。そして、遥が夕日を見る光の横顔を見てこう心で囁いた。
「ありがとう。佐伯君…。」
 
 
 観覧車を降りて、光が遥に言う。
「さて、帰ろうか?暗くなってきたし。お若いお嬢様方を遅くまでお連れしていると、一色のお父さんが心配するしな。」
 携帯電話を取り出して、画面に表示されたデジタル時計を見てから、またポケットにしまう。すると、遥が腰に手を当てながら少しつんとした感じで言う。
「まぁ、あたしは魔族では若いかもしれないけど、人間界の歳でいうと大人よ。魔界と人間界では魔界の1年が人間界の9年分位なのよ。」
「え!そうなんだ。いったい一色は何歳なんだよ。」
 驚く光に、くすくす笑いながら遥が答える。
「ひ・み・つ。レディーに年を尋ねるなんて失礼よ。ねぇ、リコ?」
 リコもくすくす笑いながら応えた。
「ハイですの。」
「ちぇっ。なんかすっかりお子様扱いされた感じだなぁ。お姉さま方に。」
 光の言葉に遥が彼の手を両手で持って優しく言う。
「ううん。魔界でのハルカリ・ディオールとしては佐伯君よりも年上かもしれないけど、人間界での一色遥としては佐伯君の同級生として見て欲しいの。駄目かな?」
「しょうがないな。俺からすると、一色や朱里が魔族とか関係ないんだ。一緒に学校に通っているとどうしても同じ人間に思えてしょうがないし。それで良いよ。」
 少し照れながら光が言うと遥が嬉しそうに思わず抱き付いてハグする。
「ありがとう!!」
 そして次の瞬間、遥も光もはっ、として離れる。
「あ、あれだな。こういった女の子っぽい可愛いところも、人間界の俺らの歳の女の子と変わらないし、やっぱ、一色も高校生だわ。」
 二人ともドキドキしながら話す。
「そ、それって、精神年齢が低いってこと…?」
「いや、これまで通り同級生だってことさ。」
 リコがニコニコしながら二人を見つめる。
 
「そうだわ、帰りに少し遠回りだけど、また海を見たいわ。」
 観覧車から見えた海が眩しくて、遥はまた海を見てみたいと思ったのだった。
「まぁ、ちょっとだけな。砂浜の辺りに行ったら帰るよ。良いね?」
「は~い。」
 遥が可愛く返事すると、二人と一匹は笑った。
 
 
 観覧車があった場所から東南に少し歩くと、先日、龍助達と遊びに行った浜辺に到着する。すっかり夕日も沈みかけて、辺りは暗くなってきていた。
 
 
 遥と光が浜辺へ向かっていた少し前、魔界にある犯罪者を閉じ込めておく牢屋で小さな爆発が起こっていたのだった。
「遅いぞ!予め段取りを決めておいただろう?何を手間取っていたんだ!」
「大変申し訳ありません。セル様。牢屋の結界が新種の物に変更されていたために、予想以上に解析に時間がかかってしまいました。古代のものと思われる見慣れないブービートラップまで仕組まれており、魔獣が何体か餌食になりました。」
 数体の魔獣を引き連れて、魔族の兵士が一人セルに頭を下げる。セルは、以前、朱里が魔界へ連れ戻された時に、アルによって魔界への反逆を暴かれて投獄されていたのだった。
「新種の結界か。なるほど。シーズか。あのじじいめ。いや、違うな。見慣れない古代のトラップを仕込んでいるとしたら、あいつしかいない。アル・レインめ!まぁ、餌食になった魔獣の代わりはいくらでもいる。」
 セルを牢獄へ助けにきた魔族から、セルの武器を受け取る。すると、セルがゆっくりと杖を持って牢獄から出る。
「それでは、行くとするか。」
「はっ。我らの世界のために!」
 
 セルの後ろに魔族が続こうとした時、セルが薄気味悪い笑みをこぼす。
「ところで、お前は、もう用済みだ。御苦労だった。」
 すると杖を軽く振り回し、結界に閉じ込める。
「今、なんとおっしゃいましたか?これは?セ、セル様!!うわぁ!!」

イラスト:hata_hataさん

 魔族はどんより光る結界に押しつぶされ、悲鳴を上げた。魔獣達が怯えながらセルの側でガタガタと震えている。そして、魔族が気を失って静かになった後でセルは杖を地面に突き立てた。
「もともと、お前は私の魔術にかかっていただけだ。」
 どうやら魔界でセルが反乱を起こす前に、念のために予めこの魔族や魔獣達に適応魔法の応用で記憶のすり替えと魔法をかけておいたようだ。以前、セルは魔界でも優秀な研究者の一人だった。研究には熱心で数々の成果を出してきたので、魔界にあるディアブロ王立研究所の最高責任者のシーズ博士から信頼され、魔界の永久凍土にあるという第二研究所の所長を任されていた。しかし、彼はシーズの信頼を裏切り、耐性の無い者へのbreak through技術の乱用や、魔界でも禁忌とされる魔法の研究等を陰で続け、ディアブロ王への反乱を企てて捕まったのだった。
 今、再び、セルが動き出した。
 
 
to be continued...

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■Episode 003:

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■Episode 004:

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■Episode 005:

♪:[color]

■Episode 006:

♪:[my wings]

■Episode 007:

♪:[I'll be there soon.(すぐ行くよ)]

■Episode 008:

♪:[promise]

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■Episode 017:

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■Episode 018:

♪:[let it go!!]

■Episode 019:

♪:[N]

■Episode 020:

♪:[tears in love]
♪:[destiny]

■Episode 021:

♪:[Touch to your heart!]
♪:[you and me]

■Episode 022:

♪:[Happy Happy Love]

■Episode 023:

♪:[INFINITY]

■Episode 024:

♪:[さぁ、行くよ! \(@^▽^@)/♪]

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(楽曲:shin イラスト:hata_hata様)

 

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(楽曲:shin イラスト:hata_hata様)

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(楽曲:shin イラスト:hata_hata様)

CIRCLE[shin entertainment]

涼(ライダースーツ姿 L.D.C.装着時)

イラスト:hata_hataさん