Episode 010
トレジャーハント?(前編)

music:[月影の唄]


前回までの『L.D.C.』

 魔界から来た麻宮朱里を取り戻すために魔界へ突入した龍助,遥,リラは、ちょっとしたアクシデントにより軌道を外れて、朱里の捕らわれている城からかなり離れた場所に着地した。
 
 そこは、何かの力がかかっていて、再度、ゲートを開くことの出来ない場所であった。
 
 龍助たちは魔界のトレジャーハンターであるアル・レインと出会い、洞窟の遺跡を抜けて、まずは遥の家がある街まで向かうために仲間に迎えることになった。
 
 龍助たちの目の前には、洞窟が永遠と奥へ続いているのだった...。

 龍助たちの前に薄暗い洞窟が見えた。先頭を行くトレジャーハンターのアルが指をパチッと鳴らして、洞窟内の音を確認している。その音の残響が響いていた。リラも指を鳴らそうと真似をしたが、肉球付きの小さく可愛い手では音が出ず、様子を見ていた龍助が苦笑いをする。
「けっこう奥までありそうだ。お前達にこれを渡しておく。大切に使え。」
 アルが龍助と遥にペンライトのようなものを渡す。

イラスト:hata_hataさん

「雷属性の魔力を少し溜め込んだライトでしょう。軽めの雷属性か火属性の魔法の玉を手のひらの上で維持しているのと同じような効果じゃないの?それぐらいだったら、あたしも氷属性者だけど簡単な雷属性の魔法だって使えるわよ。」
「あぁ、そうだろうな。だが、魔力は必要な時にとっておくのが魔界でのアドベンチャーの鉄則だ。何が起こるかわからないから、その時まで遥の魔力は温存しておけ。龍助、お前は、あんまり魔力感じないけど…。」
「あああ、龍助は、魔力が低いの。魔法学校でも成績悪くて先生に怒られてばかりだったのよね?」
 遥が慌てて龍助が人間界から来たという事を知られないようにアルの前であたふたする。
 
「まぁ、生きてると色々悩みもあるわな。気にするな、龍助。それぞれの特性もあるし、成長するきっかけもそれぞれだったり、そもそも生まれによって、階級や魔法属性なんかがあってそれに縛られるなんてなんかめんどくさいよな、まったく。まぁ、それが嫌で兵士を辞めてトレジャーハンターになったような感じもあるしな。今は分からないかもしれないけど、お前にしか出来ないことがきっとあるから、それを見つけ出してそれをやり遂げるんだな。生きるということは、ある意味トレジャーハントみたいなものだ。」
「僕にしか出来ないこと…か…。」
 龍助はぐっと右拳に力を入れた。これから朱里を奪還すること、それが龍助にしか出来ないことであって欲しいと強く願った。
 遥が龍助の横顔を見ながら、魔界へ出発前の光との約束を思い出していた。龍助やリラを守って、朱里を奪還してみんなで必ず人間界へ帰るという約束だった。遥も洞窟を前にして少し緊張していた。
「そろそろ、行こうよ。おいらはいつでもre-writeできるように心の準備しておくからな、龍助。それから、頼りにしているぞ、アル。トレジャーハンターの経験をいかした道案内をよろしくな!」
「あぁ、任せておけ。」
 そう言って、アルが洞窟へゆっくりと入っていく。龍助たちも続く。
 
 

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●第一の石碑(古の旋律)
 アルがゆっくりと様子を見ながら、奥深くへと進んでいく。アルから渡されたペンライトは暗闇の中を小さくきらきらと照らした。足元が何とか見える程度だったが、暗闇を歩くのには十分な明るさだった。
 少し通路が広くなったところに、楽譜のようなものが石碑として横に立てかけられていた。
「どうやら、古代の楽譜だな。音符のとおりに床の岩を進んでいけば良さそうだ。俺についてこい。一応、安全のために違う岩を踏むな。」
「分かったぞ。って言っても、おいらは龍助の肩に停まっているので、龍助、頼むな。」
「向こうまで岩ばかりだね。すごい数が永遠と並んでる。」
 床に一列12個の岩が横に並んで、30センチほどあけて縦に数メートル奥へと続いていた。12音階をあらわしているようで、楽譜の音の順番に岩を選んで進んではその次の列との間の道を歩いて次の列にある音階の岩を進んで行くと、アルから説明を受ける。
「ちゃんとアルの言うとおりに進めば大丈夫なんでしょうね?」
「任せておけ。前にもこんな感じの遺跡を通ったことがあるんだ。楽譜をトレジャーハンター用の道具でスキャンしたから大丈夫。」
 胸を張ってアルが道具を取り出す。
「それって、人間界のデジタルカメラじゃん。」
 リラが突っ込む。
「あ、そうともいう。便利なもんは魔界でも人間界のものでも取り入れる。それが俺のポリシー。龍助の携帯電話にも付いているだろう?それよりは性能良い奴なんだぜ。じゃぁ、行くぜ。」
 休憩中にリラックス目的で龍助が音楽を聴くために携帯電話をいじっているのを見逃さなかったようだ。アルはトレジャーハンターとして周りの洞察力に長けているのだろう。
 
 
 アルに続いて音譜通りに龍助たちは進んでいったのだが、少しすると暗闇に目が慣れてきて、龍助がよそ見をした時だった。間違って隣の岩を踏んでしまった。そのとたん、いきなり床の一部が抜ける。瞬時に、遥がロッドを龍助の方へ差し出して、龍助がそれに掴みなんとか落ちずに済んだ。
「な、何やってるのよ。龍助!」
「ごめん。助かったよ。油断してよそ見しちゃった。」
「龍助、無事でよかったなぁ。遥はナイスだったぞ。この落とし穴は…、早速トラップだな。」
「トラップ?」
 リラがパタパタとアルの前に飛んできて尋ねる。龍助の落ちそうになった穴には何本もの槍がむき出しになって突き立てられていた。
「そう、トラップ。この洞窟は、遺跡でもあるんだが、宝が眠っているんだ。そのお宝は、はるか昔、古の時代のものらしいと古文書には書かれているんだ。だが、誰もここへ立ち入った者は帰ってきたことがないという。お宝を守っているトラップがきっと沢山張り巡らされているんだろうなぁ。まぁ、こんなのは序の口だが。トレジャーハンターとしては心躍るぜ。」
「踊らんでも良いが、どうやら恐ろしいところに来てしまったようだな。おいら達。」
「そ、そうよね…。」
 遥も小さくつぶやく。
 
 
「どうかした?」
 薄暗いので表情があまり見えないのだが、緊張した遥にそっと龍助が声をかける。アルとリラが少し離れたところで話しているのを確認して、遥は小さい声でささやいた。
「あたし、本当は暗いところ苦手なの…。みんなには内緒なんだけど。小さい頃に色々あって、トラウマになってるの…。」
「大丈夫だよ。僕がいるから。あ、でも、今さっき、遥ちゃんに助けてもらったのは僕の方だから、頼りないね。手を繋いでおこうか?僕も不安な時は、誰かに支えてもらえるととても安心するし。お互い様だしね。それにリラも暗いところ苦手だって。魔界に来るときもびびっていたから。あ、遥ちゃんじゃなくて、一色さんって呼ばなくちゃ。時々、リラにつられてつい。」
 龍助が、気を使って優しい言葉をかけてくれたことで、遥の表情が明るくなる。
「ありがとう。少し落ち着いた。今は手を繋がなくて大丈夫。リラには今のこと秘密だよ。アルにも。」
「うん、分かった。僕と一色さんの秘密にしておくから大丈夫だよ。」
「そ、それから…。遥でも良いよ…。好きに呼んでも。」
「?」
「だから、遥ちゃんって呼んでも怒らないから!…。」
 遥が照れくさそうにしながら龍助に言う。
「了解。じゃぁ、遥ちゃんで。まだ慣れていないから、時々、一色さんって呼んじゃうかも。」
 
 二人とも微笑む。後ろで、リラとアルがニヤニヤと二人の様子を見ていた。
「な、なんなのよ、あんた達!!!さぁ、さっさと行くわよ。」
「了解!遥ちゃん!」
 アルが、敬礼する。リラもパタパタと小さい翼で飛びながらアルの真似をする。
「了解だぞ!遥ちゃん!」
 遥が赤くなってアルとリラの前に駆け寄る。
「あんた達、どこから聞いていたのよ。」
 リラが答える。
「遥ちゃんって呼んでも怒らないから!ってところから。」
 そして、アルが続く。
「遥は、アルが気になるんだ。どうしよう、これって恋してるのかしら?告白するべきかしら?ってところ。」
「アル、あんた!あたしはそんなこと言ってない!大体、何度言ったら分かるのよ。あんたには興味はないの!」
「つれないなぁ。遥ちゃんは。龍助ばかりひいきしすぎだぞ。まぁ、いいや。みんなの緊張も少しほぐれたみたいだから先に進むぞ。」
 アルは、遥や龍助の緊張した様子を見てほぐすように気を使っていたようだった。
 
 

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●第二の石碑(風のリズム)
 なんとか無事に楽譜どおりに岩のある通路を抜けると、数メートル先に今度は細い通路に出た。
 アルが、足元にあった石を掴んで、細い通路に投げてみる。すると、魔法の槍が飛んできてその岩を貫いて砕き、そして消えた。
「う~ん。これも、やっぱりトラップか。」
 入り口の石碑の古代文字を読むために、アルがポケットからメモ帳を出して照らし合わせながら分析する。
「OK。どうやら、これはリズムが関係しているようだな。さっきのは音階だったろう?」
「そうね。今度はリズムということは、通り抜けるのにタイミングが問題ということ?」
「その通り。遥ちゃんは頭良いなぁ。アル、超感激。」
「あんたに遥ちゃんって呼ばれると、なんでこんなに腹が立つのかしら…。」
 遥がおちょけたアルを見て拳をぎゅっと握る。
「まぁまぁ。それで、どうしたら僕達はここを突破できるのかな?」
「それはな…。」
 
 アルが説明した。ところどころに通路の壁から風が吹き出ているので、そのリズムを感じて、その風が吹いている間に通り抜けると良いとのことだった。リズムには4分音譜や8分音符のものだけでなくて、ちょっとしたリズムパターンを刻んでいるものもあるようだ。
「広さ的には二人が抜けるのがやっとだな。遥と龍助。お前達のどっちがリズム感悪い?俺が一緒にいってやるぞ。」
「リズム感が悪いのは、僕の方だよ。多分。」
「龍助か。お前、トロそうだもんな。でも、そんなお前といるとなんだか落ち着くんだけど。本来ならジェントルマンな俺としてはレディーを守ってやらなきゃいけないんだが…。」
「大丈夫よ。私が龍助と行くから。」
「?」
「まずは、道案内役のあんたが先に進んでもらって、大丈夫だったら、あたし達が続くわ。だって、もし間違っていたら魔法の槍に串刺しじゃない。あんたはトレジャーハンターだから万が一ミスっても脱出できる可能性があるけど、あたし達がいると足手まといになってしまう。それに、あたしは仲間の龍助とリラを守ると、残してきたもう一人の仲間にも約束したから。」
「OK。的確な判断だ。確かに遥の言うとおりだな。俺よりもしっかりしている。その仲間のためにも、まずは俺様がここを突破しなくちゃな。」
 深呼吸をして、アルが通路に飛び込んでいく。始めのリズムは4分音符の刻みだったので、それにあわせて首を振りつつ、そのタイミングで風が吹く中に飛び込む。
 次はリズムが8分音符の刻みだった。それにあわせて更に奥へ飛び込む。
 奥へ行くほど細かいリズムで、1小節の細かいリズムトレーニングのような感じであった。アルは運動神経が良く、俊敏さもあって、更にリズム感も持ち合わせていたので、あっという間に向こうへたどり着いた。
 
「最後の方が少し難しいぞ。気をつけろよ。」
 アルが大きく両手を振って合図を送る。
「任しておいて。龍助、腕を貸して。あたしがリズムに合わせて飛び込むから、あんたはあたしに身をゆだねて一緒に飛び込んでね。」
「うん。ありがとう。」
 龍助の腕に遥が腕をしっかり絡ませる。
「しっかり、付いてきてね。龍助。さぁ、行くよ。」
「おいらも落ちないようにしっかり龍助に掴まっておくから、遥と龍助、頼むな。」
「うん。遥ちゃん行こう!」
 
 遥のリードで次々と風の中を抜けていった。風に吹かれて、遥の髪が揺らめき、綺麗に舞っているようだった。ちょうど、アイススケートのショーのように軽快に、そして優雅だった。自然に二人は笑顔になり楽しそうに通り抜けてゆく。そして、最後の風のリズムの箇所で立ち止まった。
「後、一つだね。間違えると危険なんだけど、なんだか遥ちゃんと一緒に進んでいると楽しいよ。僕もリズム感がよくなりたいなぁ。」
「あたしも楽しかった。リラもでしょう?でも、油断は禁物ね。最後のだけは不規則みたいだから。どっかで、聞いたことのあるリズムなんだけど。」
「大丈夫?おいら達は遥が頼みなんだ。」
「任せておいて。さぁ、行くわよ。」
 そう言うと、最後のリズムに合わせて風の中に飛び込んだ。そして無事にこの関門も抜けた。
「お疲れさん。遥は良いリズム感してるな。」
「あんたも、まぁまぁ、だったわよ。」
 二人が手を上げてハイタッチする。それを見ている龍助とリラも笑顔になる。魔界へ突入して偶然出会ったアルだったが、龍助たちと少しずつ仲間としての絆が築かれていっていることを感じた。
 
 
to be continued...

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(楽曲:shin イラスト:hata_hata様)

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