Episode 018
バンドやろうよ(後編)

music:[let it go!!]


前回までの『L.D.C.』

 人間界で生活をしていた南龍助は、魔界から来た少女、麻宮朱里と出会う。そして、一度は魔界に二人は引き離されたのだが、仲間と共に魔界を旅して立ち向かい彼女を取り戻し、再び人間界で夢を追いかけることになった。
 
 放課後、ラクロス部の練習をしていた朱里と遥は、校舎裏に魔力を感じて駆けつける。人間界に何か異変が起き、キメラが迷い込んできたのだった。
 
 キメラがこれ以上、人間界へ出てこないようにデビルモードで応戦するが、キメラが仲間を呼んで朱里が不意を突かれて気を失う。負傷した遥が気を失ったままの朱里をかばいながらキメラに囲まれてしまう。危機に直面して遥は思わず「龍助、助けて...。」と口にしたのだった。その時...。

「これでも食らえー!!!」
 遥が小さく龍助の名前を口にしたその瞬間、テニスボールが大きなキメラの目に向けて飛んできて命中した。大きなキメラが悲鳴を上げて一瞬よろめく。
「龍助!?」
 遥が振り返ると、そこにはテニスラケットを持った光が立っていた。以前、光は遥からディオール家の宝具の一つであるピアスの片方をお守り代わりに手渡されていた。それは、宝具を持っている者の位置を魔族から分かりにくくする効果だけでなく、魔族の魔力を察知すると、石が光る効果も持っていた。テニス部の練習中にピアスが光っていることに気付いた光は、嫌な予感がして駆けつけたのだった。キメラに近づくほどにピアスは点滅を繰り返す頻度が高くなっていった。

イラスト:hata_hataさん

「龍助じゃなくて悪いな。一色!なんだ、この生物は。恐竜か?」
「佐伯君!なんで、ここに来たの!危険だから早く逃げて!!人間のあなたにはこのキメラには敵わないわよ!」
 その言葉を無視して光は、テニスボールを更にポケットから出した。
「敵わないんだろうな…。ちっぽけな人間の俺には、きっと。でも、さぁ。龍助だったら、きっと仲間をおいて逃げない!!俺にとって、一色も朱里も大切な仲間だし、俺も男だ。これ以上、誰にも消えて欲しくないって、決めたんだ。」
「佐伯君は、人間なのよ!!魔法を使えないんだから!!」
 光が綺麗なフォームでゆっくりと二つのボールを頭上へ時間差で高く投げると、落ちてきたボールを次々に左右の小さなキメラの頭に向けて勢いよくサーブした。カーブをしながら二球とも命中する。同時に火属性と風属性の小さな魔法効果が発動して、キメラたちが動揺して少し後ずさりする。
「それって…。」
「そうさ。龍助が魔界へ旅立つ前に修行を手伝った時の魔法属性の詰まったボールさ。あの時の残りを少し護身用にリラから預かっていたんだ。」
 光は警戒しているキメラを避けて、遥の元へ駆け寄って気を失っている朱里を抱き上げた。
 
「でも、後、一球しか残ってないんだ。安心しろ、って言える状況じゃないけど、龍助に電話したからきっと助けに来る。なんとか安全に逃げることを考えよう。」
「あたしは、足を負傷しているの。だから…、あたしが…。」
 遥が言おうとしたことを察して、光がきつく叱り付ける。
「駄目だ!俺は、一色も一緒に助けたい。囮になるって、ナンセンスな作戦は却下だ。俺と龍助を信じろ!!」

イラスト:hata_hataさん

「はい…。」
 その真剣な光に押される形で思わず、遥がおしとやかに小さくうなずいた。彼の言動から、何か分からないが、不安なこの状況でとても心強さと安心感を何処となく感じたからだった。
「一色、奴らの注意をそらしたい。この残りの風属性の魔法が詰まった一球を一番大きな奴の後方にある木の枝に向けて打つから、お前の魔法で効果をアップできないか?」
「ボールが枝に接触するタイミングであたしも同じ属性の魔法をぶつければ効果は大きくなるけど。」
「よっしゃ、それで決まり!」
 即決の光に、慌てて遥が言い寄る。
「ちょっと待ってよ!タイミングが合わないと失敗よ!」
「俺が失敗させない。お前の魔法にしっかりリンクしてサーブを打ち込んでやる!」
「テニスの試合じゃないのよ!!」
「信じろといっただろう!俺がお前を守る!」
「…うん…。」
 
 気を失っている朱里をすぐ後方の草原の高台に寝かせた。そして、光が遥に優しく言う。
「大丈夫だ。一色。お前ならできる。俺もお前を信じてる。」
 恐る恐る遥がロッドを大きく振りかぶって、呪文を唱えた。同時に光が、サーブをする。遥の放った風属性の攻撃魔法が激しい風となってかまいたちの様にキメラを少し切り裂きながら、後ろの大きな木の枝に向かって飛んでいく。それを追うようにして光が放った魔法の玉が加速して行き、同時に木に接触した瞬間、魔法の相乗効果で大きな竜巻が起こり、木が折れて大きなキメラの上に落ちてきた。
「ジャストミート!さぁ、行くぞ。一色!!」
「う、うん。」
 すぐに朱里を抱き起こして光が遥を呼ぶ。大きなキメラが木の下敷きになった状態で馬気声を上げている。大きなキメラが暴れたために、横にいた二匹のキメラが吹き飛ばされた。途中、遥がリラの短剣を拾い上げる。
「まだ、リラの長剣の方が…。」
「大丈夫ですわ。遥様。リラはどちらかがあれば元の姿に戻れるはず。」
「おう、おいらは大丈夫だ、先に行っていてくれ。」
「そら、リラもリコもそう言っているんだ。行くぞ。」
 しかし、次の瞬間、大きなキメラがうなり声を上げて興奮状態で遥に襲い掛かろうとした。光が遥をかばうようにして、朱里を抱きかかえたまま間に立った。
 大きなキメラの前足の爪が光の右腕を切り裂いた。
「俺が守る、って行っただろう。大したことない。かすっただけだ。」
「佐伯君!!」
 遥が光を抱きしめる。大きなキメラが二人に目掛けて前足で攻撃しようとした。その瞬間、光がにっこりと微笑む。
 
「遅いぜ、ヒーローの登場が。あんまり一色をじらすなよな。」
 
「!?」
 
 遥が光の言葉に振り返ると、そこには龍助がリラの長剣を持って立っていた。そして、次々と剣を振りながらオーラを飛ばして、キメラ達を後方へ後ずさりさせた。
 そして、同時に、黒い槍が龍助の後方から伸びてくる。それに合わせるように龍助が走りながら叫ぶ。

イラスト:hata_hataさん

「リラ、僕と一緒に戦って、re-write!」
 その瞬間、龍助の持っている剣が一本の剣のフォームにフォームチェンジする。フォームチェンジと共に遥の手元からリラの短剣は消えていた。一本の剣のフォームは二本の剣のフォームと同じ第一段階であるが、二本の方が攻撃力は高い。
「もう一回、re-write!」
 その声で、今度は第二段階のマサカリ型にフォームチェンジする。第二段階は、第一段階よりも更に攻撃力が高くなる。しかし、攻撃力が大きくなる分、安定させるのが難しい。しかし、龍助は何とか安定させて使えるようになりつつあるようだった。
「南龍助!そのキメラ達の尻尾を切りおとしてしまえ!そうすれば大人しくなる。大丈夫だ、時間がかかるがまた生えてくる。」
 後方の男の声を聞いて、槍で大きなキメラを押さえつけると同時に、龍助が次々とキメラの尻尾を切り落としていった。すると、キメラの魔力が急激に下がり、大人しくなってしまった。三匹は寄り添うようにして怯えていた。
 龍助がre-writeを解除して、ドラゴンの姿にフォームチェンジしたリラと一緒に駆け寄る。
「遥ちゃん、大丈夫?」
 優しい笑顔で龍助が遥達の無事を確認する。遥が龍助に抱きついて謝る。
「ごめんなさい。私の勝手な判断で、朱里を危ない目にあわせてしまった。」
「朱里は大丈夫だ、龍助。遥が守ったんだ。」
 遥の頭をなぜてやっている龍助を見ながら、光が気を利かせて言う。
「ありがとう、遥ちゃん。みんな無事で良かったよ。」
「ははは、お前のかっこ良さには敵わないぜ。やっぱ、何の能力もないちっぽけな俺みたいな人間には。ヒーローの登場までにかっこよく解決したかったんだけど、これが精一杯だぜ。かっこ悪いっちゃ、ありゃしない。」
 
「そんなことないよ!」
 
 遥が少し強めの口調で言う。光の右腕の切り傷に気が付いてすぐに遥が上着の腹部から胸の下の辺りにかけて、びりっと一部を切り裂いてから、光の腕を自分の方へ引っ張る。
「大人しくして。少し痛むかも。」
 魔力を消耗してしまっている遥は、そっと傷口にキスをして唾で消毒をした後で、切り裂いた衣装の一部で止血する。光が痛みをこらえて、顔を歪ませる。
「ありがとう。龍助達が助けに来るって、信じろって、言ってくれてちゃんと守ってくれた。そして、人間だから逃げるように言ったのはごめんなさい。佐伯君は魔力は持っていなくても強い人だよ。あたしを信じてくれたあなたを信じて良かった。」
 龍助が代わりに朱里を抱き起こした。
「麻宮さん。大丈夫?」
 気を失っていた朱里がゆっくりと瞳を開ける。心配そうに見つめていたリラが朱里の胸に飛び込んで泣きじゃくる。
「朱里、大丈夫か?おいらすごく心配したぞ。龍助と由依ちゃんをおいらに押し付けていなくなっちゃ嫌だぁ~。」
「リラ、ごめんね。もう私は黙ってリラの前からいなくならないよ。龍助君ありがとう。」
 龍助がワンワン泣いているリラをなぜてやりながら微笑んだ。
「遥ちゃんとリコと光が麻宮さんを守ってくれたんだよ。光から電話を貰って慌てて軽音学部の部室を出たんだけど、僕は相変わらずモタモタしていて、あの人に連れてきてもらわないとみんなを守れなかったんだ。」
「あの人?」
 朱里が尋ねる。光も後姿で立っている男を指差して尋ねた。
「そうだ、あの槍の勇者は誰なんだよ。助けてもらった礼を言わないと。」
「涼さんだよ。」
 龍助がにっこりする。遥が驚きながら目をこする。
「何?R.が助けてくれたの?ありがとう…。」
「涼さんが。ありがとうございます。」
 朱里も涼の方へ頭を下げる。
 キメラ達が逃げないように槍で狙いを定めていたが、魔法で空間の亀裂を修復し、その後、魔界へのゲートを開いてキメラをその中へ誘導してゲートを閉じた。涼が振り返ったその瞬間、光がラケットを落とした。
 

イラスト:hata_hataさん

「に、兄さん?」
 龍助達が驚いて光を見る。
「兄さんだろ。俺だよ、光だよ!」
 涼が光のラケットを拾い上げて普段どおりクールな感じで光に冷たく答える。
「誰かと間違えているんじゃないか?悪いが俺には弟はいない。それに俺は魔族だが、お前は人間だろう?」
「そうだよ…。いくらなんでも、亡くなった光の兄さんが涼さんってことはないよね。」
 龍助ががっかりする光を気遣って声をかける。
「そ、そうだよな…。俺、なんか見慣れないキメラっていう魔界の生物や、現実離れした龍助達の戦いを見て、混乱しているんだよな。悪かったです。きっと、人違いです…。助けてもらってありがとうございました。」
 頭をかきながらラケットを涼から手渡してもらった。
「大したことない。こいつの記憶置換はどうする?」
 龍助が慌てて光の前に立つ。
「だ、大丈夫です。魔界の王のディアブロ王に、僕達の仲間として光にも魔界の存在の秘密を特例で伝えておいて良いという許可が下りているんです。」
「そうか。だったら、用は済んだ。最近、異世界を区切っている壁に何らかの異変が起きて、人間界へ魔獣やキメラなど魔力の低い魔界の住民が迷い込むことが度々起こっているそうだ。俺も、先日、対処したところだ。人間界も決して安全とはいえないから、気をつけるがよい。」
 そう言うと立ち去ろうとした。
 

イラスト:hata_hataさん

「待って!」
 朱里が涼を引き止める。
「?。なんだ、ジュリア・クリスティー。いや、人間界では麻宮朱里と名乗っているんだったな?」
「私も含めてみんなを助けてくださってありがとうございます。それから、シャロンちゃん、いいえ、ディアブロ王様から言付けがあるの。いつでも待っているって。涼さんの気が済んだら、また魔界に戻って来てと。あなたには帰るところがあるんだから。」
「言いたいことはそれだけか。麻宮朱里。もし機会があったら王へ伝えてくれ。『今は、やるべきことがあるので、俺がすべきことを見極めたいと思っております。しかし、いつでも魔界の危機にははせ参じたい所存です。』と。」
 涼が足を止めて背中越しに言う。それを聞いて龍助に肩を支えられている朱里がうなずく。
「分かったわ。お伝えします。もう一つ!最近、涼さんは何処にいるの?この町に住んでいるの?」
「秘密だ。失礼する。」
 そう言うと、振り返らずに歩き出し、適応魔法を唱えて、魔力を抑えた人間界の姿へモードチェンジした。校舎の向こうの校門の辺りから、涼が乗ってきたと思われるバイクの音が聞こえる。
 
 
「光も遥ちゃんも麻宮さんも怪我しているから、今日はすぐに一緒に帰ろう。そういえば、光からの電話を貰って、慌てて鞄を持って出てきちゃったから、実君を部室においてきちゃったんだ。もうこの時間だったら帰っちゃっているかな?」
 朱里が気を取り戻したので、朱里と遥が適応魔法を掛けて学生服姿になる。リコはre-callを解除してもらいドラゴンのフォームにフォームチェンジした。リコが遥の左肩にそっと停まって、ホッペの傷をなめてあげた。
 朱里は適応魔法をかけた魔力を抑えた人間界の姿の時は、属性は水に変化する。魔族で魔力によって属性が変化するケースは珍しい。水の属性は癒し効果のある魔法が多いので、遥と光の傷を応急処置したのだった。
 
 
 龍助達が、校門へ向かって下校していると、校門の横で立ち尽くしている実を見つける。
「なんだか、嫌な予感がするぞ。龍助…。」
「さっき、涼さんもこっちの方へ出て行ったんだよね。」
 龍助が恐る恐る口にする。
「そうだったわね。」
「うん。」
 遥と朱里がうなずく。
 4人が気付かれないように、実から離れて門を通り過ぎようとすると、実が駆け寄って来た。
「あ~ら、あたいさっき、またあの人に会っちゃったのよ!」
「えっと…。その人って…。」
「楽器屋でクールなギターを弾いていた、ナイスガイ!涼様。」
 楽器屋でギターを弾いていたと言う言葉に、光がドキッとする。数年前に光の目の前でなくなった兄もギターが好きだったからだ。幼い頃、光は兄にねだってよく弾いてもらっては聴いていたのだった。光も兄の形見のギターをたまに弾いていることがあった。
 龍助が光を心配して尋ねる。
「光?大丈夫?」
「いや、何もない。ちょっとだけ考え事。」
 
 光と龍助のやり取りにも構わず、ハイテンションの実が言う。
「でね、でね。あたい、お名前を聞いたことはあったんだけど、前にお会いした時も感激のあまり、あたいのお名前を名乗るのを忘れてしまっていたので、今回はこれを作っておいて手渡したわ!!」
 胸元のポケットから紙切れを取り出す。朱里と遥が覗き込む。
そこには、
 
『グルーヴィー☆ドラマー実
軽音楽部部長 兼 ドラマー
伊集院実』
 
と記されていた。

イラスト:hata_hataさん

「伊集院君の名刺なんだぁ。」
「ちゃんと星が入っているんだね…。」
 遥と朱里が苦笑いをしながら龍助と光の方を向く。実が龍助達にも一枚ずつ名刺を渡した。
「まぁ、なんだな。お前も頑張れよ。一色と朱里は千夏達とラクロス部で頑張ってるみたいだし、俺もテニス頑張るし。龍助も。」
「僕も軽音楽部に入部する。」
「入部・し・た・でしょう!まだ学校へ出す書類は書いてないけど、さっき、部長のあたいが認めたから、龍助君も今日から立派な軽音楽部員!!」
「そうでした。部長と一緒に練習頑張ります。」
 龍助が笑うと。みんなも笑う。
「まさか、龍助も名刺作るんじゃないだろうな?」
「あら、私は良いアイデアだと思うわ。ラクロス部でも作ろうよ。今度の練習試合で、相手のチームの選手と交流する時に便利だよ、きっと。」
 朱里が明るく言うと、遥がギクッとして、そっけなく答える。
「か、考えておくわ…。」
 チャイムが鳴ったのを聞いて龍助が言う。
「じゃぁ、帰ろう。みんなで。」
 
 
 下校していく龍助達の様子を校舎の部屋から武司が見ていたのだった。
「なんや、お前も龍助達と帰らんのか?今から走れば間に合うぞ。」
 教室で武司を見つけた裕二が声をかける。
「僕の家は、学校からすぐ近くの高層マンションだから、彼らと一緒に下校することもないです。そんな仲でもないですし。」
「そうやったな。お前ん家は、両親が立派なお仕事をされているから金持ちで、あの高級マンションに住んどったんや。小さい頃に誕生会に呼んでもらったことがあったな。なんだか、懐かしいで…。」
「それで何の用です?先輩は昔話をしに来た訳じゃないんでしょう?」
 少し警戒する感じで武司が裕二に訪ねた。
「あぁ。そうやった。実のドラムを覗きに行ってくれてありがとうな。たまたま教官室へ用事があった返りに見かけた。」
 なんとなく実のドラムの練習の様子を見に行ってしまった所を見られていたことで武司が少し慌てる。それを見て、裕二が笑いながら言う。
「別につけとった訳ちゃうで。ストーカーちゃうし。お前、男やし。」
 ゆっくりと椅子に座って、おもむろに優しく裕二が言う。
「なぁ、武司も龍助達と学生生活を楽しんだら良いやで。小さい頃、みんなと仲良くやってたのに、何でや?」
 武司がノートパソコンをシャットダウンする作業をして、片付けながら答えた。
「僕は、八方美人みたいに誰とでも仲良く付き合えるような器用な人間じゃないし、そうなりたいとも思わない。でも、心が通じ合える仲間とは、しっかり付き合いたいと思う。表面ばっかりの付き合いが悪いというつもりも無いけど、僕のような付き合い方が悪いとも言われたくない!」
 
「それでいいじゃないか?」
 予想外の答えが裕二から返ってきて武司が片付けの手を止める。
「?。」
「お前は、お前の生き方で。それってかっこええと思うで。わいは、なんか、一人でいると寂しいてな。かといって、誰とも仲良くするために、ギャグ言って八方美人してるけど…、って俺はぶっちゃけ『美人』でもあらへんけどな。あ、話、それるところやった。まぁ、お前の言うとおり、表面だけの付き合いが多くなってしまう。」
「…。」
 黙って、武司が裕二の話を聞いている。
「でもな、お前や光や龍助や、実達とは腹を割って笑えるようなそんな仲間みたいになりたいと思ってる。なんてな。ちょっとカッコええこと言うてしもうたわ。お前、惚れるなよ。女の子にモテタイからな。」
 裕二の言葉に武司は、はっ、とする。そして、メガネを取って、ゆっくりとため息をついてから小さく呟いた。
「ふっ。臭いですね。それじゃぁ、裕二さん好みの女の子は落ちませんよ。せいぜい偏屈で人付き合いが下手な奴しか。」
「ははは。」
 一本採られたというような感じで、裕二が笑う。それを見た武司が顔を見られないように背中を向けて窓の外を眺めながら言う。
「でも、ありがとうございます。僕も先輩や龍助達にとって心通じる仲間になれるかな…。」
「何ゆうとんや。前から仲間やったやろ。何ボケとんねん。あ、つっこみどころか?」
 後ろを向いたまま涙を流す武司の肩に、裕二が手を乗せ、少しぎゅっと握った。
 
 
 翌朝の日がまだ昇ったばかりの頃、龍助達の住む町の東側にある海岸沿いの砂浜に魔法陣のゲートが開いた。そして、魔界と人間界を繋ぐ『世界の穴』の『perte mondiale』中から二人ほど何者かが出て来る。ヒュ~と口笛を吹いた。
「ふぅ~、到着したぜ。久々の人間界だ。う~ん、やっぱり人間界に来たからには、夏のビーチで水着姿の綺麗なお姉様方に囲まれて、ゆっくりしたいところだが…。」
 そう言った後で、男はしばらく水平線の彼方を眺めて[let it go!!]の歌の一節を口ずさんだ。
 
「もっと自分らしく行こう!
明日は何があるのか分からないから
さぁ let it go!!
みんなで夢追って
ずっと遠くを目指しながら...」
 
 両手を空へ大きく広げて背伸びをすると、男は振り返る。
「さ・て・と。遥は相変わらず元気にしているかな?」
 浜に吹く風は爽やかで、時折、カモメ等の海鳥の鳴き声が聞こえていた。
 
 
to be continued...

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■Episode 001:

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■Episode 002:

♪:[light pink -I love you.-]

■Episode 003:

♪:[nu.ku.mo.ri.]

■Episode 004:

♪:[real]

■Episode 005:

♪:[color]

■Episode 006:

♪:[my wings]

■Episode 007:

♪:[I'll be there soon.(すぐ行くよ)]

■Episode 008:

♪:[promise]

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■Episode 017:

♪:[ドキ×2]

■Episode 018:

♪:[let it go!!]

■Episode 019:

♪:[N]

■Episode 020:

♪:[tears in love]
♪:[destiny]

■Episode 021:

♪:[Touch to your heart!]
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■Episode 022:

♪:[Happy Happy Love]

■Episode 023:

♪:[INFINITY]

■Episode 024:

♪:[さぁ、行くよ! \(@^▽^@)/♪]

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音楽配信:VOCALOTRACKS
VOCALOTRACKS様にてがくっぽいど曲1曲iTunesほか各配信サイトへ2016年11月02日配信開始!!『がくっぽいど(神威がくぽ) 8th Anniversary オリジナル楽曲』
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(楽曲:shin イラスト:hata_hata様)

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