Episode 013
前に進む理由(中編)

music:[ときめき]


前回までの『L.D.C.』

 魔界から来た麻宮朱里を取り戻すために魔界へ突入した龍助,遥,リラは、新たに仲間になった魔界のトレジャーハンターであるアルと共に、一路、朱里が捕らわれている城へ向かっていた。
 
 砂漠を渡っている途中、オアシスで休み、龍助たちは旅の疲れを癒したのだった。しかし、オアシスの外から彼らを見ている何者かがいたのだった。
 
 翌朝、龍助たちは、再びキメラと共に砂漠へ旅立ったのだが...。

 オアシスで旅の疲れを癒して、翌朝、龍助たちがオアシスを出て、今度は進路を東に向けて進みだした。次は氷山地帯の手前の砂漠を越えていく。北に氷山地帯が広がり、南東には砂漠といくつかの遺跡、そして、更に南東には火山地帯が広がる。
 
 砂漠を進んでいる時に、龍助が付けているディオール家の宝具の一つである指輪に模様が浮かび上がる。これは、魔力を持った敵が近づいたことを示している。
 キメラがおびえないように、アルと龍助が降りて、優しくなぜてやる。遥も龍助の横でいつでも敵の攻撃から守れるように準備を整える。
「龍助!」

イラスト:hata_hataさん

「うん。リラ、僕と一緒に戦って。re-write!」
 龍助がリラをre-writeさせたのを見て、遥もリコに言う。
「行くわよ、リコ。re-call!」
「ハイですわ。ご主人様。」
 リコもフォームチェンジして、遥の左腕に盾となって装着された。そしてロッドも取り出す。リラの剣は二刀流にフォームチェンジしており、龍助は右手に長剣,左手に短剣を構えた。
 
 
「アル、砂漠の真ん中だけど、どういった戦略で行けば良いの?」
 遥が、アルの指示を乞う。
「まだ、はっきりと敵の数が分からないんだが、昨日から俺達を見張っていた連中だ。」
「え?」
 龍助と遥がアルの言葉にびっくりする。
「遥の結界がしっかり張れていたから、昨日は放っておいたんだ。ずっと偵察していた連中だったら、そろそろ疲れが溜まってきている頃だろうからな。近くでゲートが開かれたのも感じられなかったから、おそらく奴らはオアシスの外で野営だ。オアシスと違って、外の気温の変化の差も激しいし、なんといっても水がなくなってきたり、訓練を受けてきた兵士でもかなり精神的にもきついと思うぜ。」
「アルは、それを計算していたんだね。」
「さ、さすがね。」
 遥もアルを認めていた。自分達がゆっくりと旅の疲れを少し癒すことが出来たのも、アルが色々と気を使って、守っていてくれたことに気が付いたからだ。
 
「まだ敵の数がはっきりしないところなんだが、一応、戦術を伝えておく。」
 アルの側に龍助と遥が近寄る。
「まず、この程度の見張りであれば、おそらく、7人から12人ぐらいの偵察用の分隊か、多くても分隊3つ分ぐらいの一個小隊だろう。それにしても、お前達、何をしでかしたんだ?ここまでしつこく追ってくるなんて。まぁ、良いや。俺のせいかもしれないし。」
「?」
「なんでもない。それで、おそらく通常の任務で考えると魔力の強い上級魔族が一人配属されているはずだ。後は、大体、それよりもレベルがかなり下だ。強いのは、中距離から近距離戦向きの俺と、中距離から遠距離向きの龍助&リラのコンビネーションで対応する。そして、他の連中は、遥とリコ、お前達に頼めるか?」
「任して!」
 遥がうなずく。
 
「遥、お前は、魔法のセンスが良い。それに、氷属性が優勢になるように、地の利もちょうど氷山地帯の風がこちらへ吹いてきている。お前にとって、他の属性者よりはワンランク上の魔法効果が発動する有利な条件だ。」
「そうね。但し、同じ属性者がいたら条件は同じなんだけど。」
「龍助とリラは、リラの剣でオーラを飛ばして攻撃で、中距離以上は近づくな。中距離からは、俺がけん制しながら攻撃するから。敵だけ狙って打ち込め。俺にだけは当てるなよ。」
「わ、分かった。」
「遥に、もう一つお願いがある。」
「何?」
「一応、俺も遥の方を援護しながら戦えるようにトラップを上手く使って戦うが、万が一、龍助がやばかったらフォローしてやってくれ。龍助は、まず、自分で自分を守ることが優先事項だが、遥をフォローできそうだったらフォロー。みんな分かったな?キメラは、メイラスがメイヨウを守ると思う。メイラスはキメラのボスだったから仲間を守る習性がある。」
 龍助たちがうなずく。
「じゃぁ、いつまでも待っていても時間だけが経って、ここで野営になると今度はこっちが不利になってくるから、仕掛けるぜ。遥、中距離の結界を頼む。」
 遥が氷属性の防御呪文で中距離の氷の壁の結界を張る。続いて、アルがいくつかの小さな玉の様な物を頭上に投げた後で、彼の属性である風属性の攻撃魔法で頭上に向けて風の槍をぶつけて、玉を四方八方に分散させて飛ばした。
 
 
 落下と同時に、かんしゃくだまの様にバチバチと小さな爆発を起こす。慌てて、敵が防御をするために魔力を極限に下げていた状態を解除して姿を現す。
「よし、7名か。うち、ボスが1名。読みどおりだ。こいつの魔力の感じ、どっかで感じた奴だ。」
「はー、はー、はー!こんなの効かないわよ。よくもやったわね。ミーは、うわぁ!!」
 遥がロッドを小さく振って、氷の槍を飛ばす。
「あーら、ごめんなさい。あたしの担当は、雑魚のお相手だったわね。てっきり、そっちも雑魚かと思っちゃったわ。ほほほほ。」
 すました感じで遥が無理に魔法攻撃をした。相手が以前遺跡でバトルになりかけた男だったからだ。しかし、その男はあっさりと遥の魔法をコピーして同じ魔法を打ち返して魔法を打ち消した。彼は魔力も高いのだが、敵の魔法を一定時間コピーして繰り出すことが出来る特殊能力を持っている。
「な、何よ!!!あんたね、すぐに攻撃してきて、せっかちすぎるのよ。あんた達のせいで、ミーは遺跡の警備であんた達を取り逃がして、次は、オアシスの警備と転属続きで、仲間には『転属レジェンド』なんって馬鹿にされる始末よ!なんかこれって窓際族じゃないの。ミーは『レジェンド』を名乗ることを許されたM.(エム)なのよ。それに、オアシスを警備しているはずだったのに、オアシスの外で訓練してちょっと気を抜いた隙に、オアシスを警備していたミー達がオアシスの中に入れなくなってしまうなんて。更に、今回、あんた達を取り逃がしたりしたら、今度は、永久凍土の警備か、火山地帯か、氷河地帯の警備に左遷よ。これも全て、あんた達のせいよ!!!!」
 
 遥の魔法をコピーしたものを数発繰り出して、攻撃する。しかし、M.の属性が雷だったので、地の利的に有利な遥の氷属性者の完全なコピーまでは出来ていないようで、少し威力が弱い。アルが見抜く。先ほど、遥の魔法をコピー魔法で打ち消したのだが、それもどうやら完全に同じ効果でなかった様で、少し服に氷が飛び散っていた。
「ははは。オアシスから締め出されるとは、ホントお間抜けだな。それに、お前の特殊能力のコピーは不完全だな。地の利等の影響もコピーしてみろよ。まぁ、プラス効果の時だけで良いだろうが。お前だったら、逆にマイナス効果だけコピーしていそうだな。」
「お、おおおおおのれ!ミーを馬鹿にしたな!わが武器よ、恐怖の旋律を奏でよ、break through!」
 ロッドをバイオリンの様に構えてフォームチェンジさせた。電気バイオリンの形になった。
「お、お前も武器をbreak throughできるんだな。それにしても、楽器の形とは面白い。シーズ博士も色々と研究を続けていたんだぁ。それとも、博士の意思とは別のところで研究されているのか?」
 
 

イラスト:hata_hataさん

 その頃、遥はM.以外の兵士を相手にしていた。
「リコ、一緒に守ってね。龍助もリラもアルもキメラたちも、みんな守りたいの。」
「勿論ですわ、ご主人様。」
 心の声でリコが優しく応える。リコをre-callさせて身に着けていると、遥はいつもよりやさしい気持ちに包まれながら戦うことが出来るのだった。
「行くよ!消滅まではさせないから…。」
 遥は瞳を閉じて呪文を唱えつつ、ロッドを正面へかざした後で胸元に戻した。そして、ゆっくりと瞳を開きながら横にロッドを大きく振った。
 すると、魔界の兵士6名の足元の地面から氷属性の結界が浮かび上がった。
「ロックしたわよ。それじゃぁ、悪いけど少しの間、気を失っていてね。」
 そう言ってから、地面にロッドを突き立てる。そして、雷属性の呪文を唱えた。氷属性の呪文を使うと、今の地の利的に遥の魔法効果が強すぎるからだった。小さい雷の呪文が結界で捕らえられた彼らを直撃し、彼らが気を失う。
 
 しかし、遥から一番遠い距離の兵士が、突然、気を取り戻して、結界を破り、遥に向かってきた。
「遥様。私で振り払ってくださいませ。」
「分かったわ。」
 敵の兵士の剣を、遥は左手に装着しているリコの盾で受け止めて、その後、兵士ごと払いのけた。すると遠くへ飛ばされる瞬間、どこかへ消えた。
「こ、これは…。」
「瞬間移動させましたわ。ただ、魔界の何処へ行ったかわからないのですが。大丈夫。魔界の兵士だったらゲートを開いて仲間のところへ戻っていけると思います。遥様は安心してくださいませ。」
「そ、そう…。リコはすごいわね。まずは、兵士達を抑えたわ。後は、M.…ね。」
 
 
 龍助がアルの後方から、リラの剣でオーラを打ち込みながら、アルが隙を見ては鞭で攻撃をするが、なかなかM.に打撃を与えることが出来なかった。
「お前、ロッドのフォームを止めて武器をbreak throughさせたのは、ひょっとして龍助の飛ばすオーラや俺の鞭までは、特殊能力でコピーできないからだろう。それに魔法をコピーできる時間に制限があるって、前に言っていたから、さっきのコピーした遥の氷属性の魔法攻撃を使える時間が終わったんだな。昨日からのオアシスの外での偵察でかなり魔力も消耗しているんだろう!」
「ぎくっ!!!な、何で分かったのよ。あ、思わず本当のことを言ってしまった。」
 アルの指摘に動揺して、M.が思わず口を滑らせてしまった。
「だったら、俺達が勝ったも同然だ。龍助。」
 鼻の下を人差し指で少しこすって、龍助の方を向いて親指を上に立てて、Goodのサインをする。龍助が肩で息をしながら、アルに言う。
 
「ア、アル、あんまり油断は禁物だよ…。」
「そこの僕ちゃんが言うとおりだわさ。ミーの打撃の直接攻撃もあんた達には脅威よ。だ・け・ど!break throughさせたこの武器はもっと恐ろしいのよ。」
 ゆっくりとバイオリン型にフォームチェンジした武器を弾き出す。その音色(ねいろ)は、怪しく、また重々しくもあり、とても暗い楽曲だった。
「龍助、気をつけろ!耳をふさげ!」
 慌ててアルが叫ぶ。
「もう遅いわ!ミーのこの音色を聞いた魔族は、しばらくの間、魔力が半分になるの。名付けて、『Une demie valse』。二分の一のワルツよ。」
「ワルツは普通、三拍子だろうが。くそっ。俺も油断して聞いてしまったぜ。」
 耳を押さえつつアルが呟く。アルは即座に風の攻撃魔法で地面の砂を霧の様に吹き飛ばして、姿を視認出来ないようにして、魔力も極限に下げて更にカモフラージュする。龍助は後方で剣を持ったまま耳を押さえている。
「あんた達の魔力はしばらく半分だから、ミーに大した攻撃は出来ないわよ。砂が落ち着いたら一気に行くわよ。」
 
「龍助、これを耳に詰めておけ。」
 龍助が耳栓を受け取って耳に詰める。アルが自分のイビキがうるさくて目を覚ますことがあったので持っていたものだった。アルも耳栓をする。兵士達を結界内で封印した遥が応援に来たので、遥にも耳栓を渡した。
「僕達は、どうしたらよいんだ…。」
 龍助たちを後方から結界で守るために、少しだけ離れた所で、リコの盾で防御体制をとりつつロッドを構える遥が呟く。
「M.って厄介な敵ね。私も音色を聞いてしまったから、魔力が半分になってしまっているわ。」
「大丈夫ですわ、遥様。私と、リラは正確には魔族ではないので、魔力は半減しておりません。そして、もう一人。」
 リコの心の声に遥が、はっ、とする。
「!?。龍助ね。彼は魔族じゃないから。」
「そうですわ。」
「やはり、リコも龍助が魔族ではないことを感づいていたのね?」
「ハイですの。でも、アル様には秘密にしておきますわ。この心の声は遥様と私だけの会話なので他の方々には聞こえておりませんのでご安心くださいませ。それで、作戦のご提案なのですが、リコの盾で遥様がガードしつつ、リラの剣で龍助様がM.なるものを直接攻撃すれば良いですわ。」
 リコの提案に遥が少し悩む。
 
「だって、龍助は…。彼はまだ接近戦は無理よ。」
「彼らは、休憩時間など、暇を見ては訓練をしていたことを遥様もご存知でしょう?」
 龍助とリラが一緒に訓練しているところを、遥は、少し離れたところからいつも見守っていたのだった。
「大丈夫。遥様と私で龍助様を守って差し上げれば。」
「リラもね。」
「ハイですわ。彼らの攻撃力も少しずつ上がっております。信頼関係と鍛錬によって。」
「分かった。あたし達も見習わないとね。」
 龍助とアルとリラに心の声を使って、リコが、「龍助が魔族ではない」ということは伏せて戦略を伝える。
 
「分かった。俺は、ここではあまり役に立たなさそうだから、お前達に任せて、バックアップに回る。兵士がもし気を取り戻したら俺が抑えるから、今から担当を遥と俺がスイッチする。これ以降は、バトルが終わるまで念のため心の声も使うな。」
 アルが心の声で伝えると、みんながうなずく。
 
 砂の霧が薄くなってくる。
「行くよ、龍助!」
 遥が大きく叫んで飛び出し、龍助が後に続く。
「ミーの音色を聞いて、まだかかってくるの?それだったら、『Extinction』(消滅)のメロディーを奏でたら、あんた達の今の魔力だったら魂は消滅してしまうわよ。」
「それは、困る。悪いが、マスキングさせてもらうぜ!手持ちの雷効果の魔法の玉が無くなっちまうが、次の村で補給すれば良い。」
 アルが残っていた雷属性の攻撃魔法の詰まった玉をM.に向けて投げて、同時に風の攻撃魔法でM.の前で爆発させた。M.は構わず奏でるが、爆発の音が彼の音よりも大きい音を連続して鳴らすので、マスキングされてM.の音自体が聞こえないようになっていた。
「な、何!こんなことが。」
 アルによる予想外の戦略でM.が慌てる。気が付くと、目の前に龍助が迫っている。
「えええい、武器が使えなくたって、お前たちなんて素手で片付けてやる!南龍助という僕ちゃん悪いわね。」
 
 M.は弓を持ったまま、右手の拳で龍助を攻撃しようとした。瞬時に遥が飛び出して、アルの拳をリコの盾で受け止める。
「何、ミーの力を受け止めるなんて。それに、なんだか優しい気持ちに包まれるような…。」
 龍助が遥の横から回り込む形で、長剣を使ってM.の左手のバイオリンの弦を切り裂く。M.が左手でバイオリンにフォームチェンジした武器を龍助に向けて投げた後、拳を龍助に向けて放った。
 しかし、龍助が左手の短剣の方でオーラを放って、バイオリンを吹き飛ばし、長剣で拳を受け流しながら、再び短剣を使って首元に押し当てた。同時に、遥が結界を三重にしてM.を取り押さえる。
「もう勝負は付いたよ。これ以上、僕達はあなたを傷つけたくないんだ。バイオリンの武器を壊しちゃって、ごめんなさい。」
「な、何ですって。ミーをすぐ消滅させないで、武器を壊したことを謝るなんて…。」
 M.が驚く。耳栓をとったアルと遥がにっこりと微笑む。
「こういう奴なんだ。龍助って奴は…。」
「ありがたいと思いなさいよ。彼じゃなかったら、あんた、今頃どうなっていたか分からないんだから。」
 
「生きているんだから、無駄に俺は消滅させない。だって、俺は『神』じゃなくて、『トレジャーハンター』だし。『トレジャーハンター』っていうのは、『今あるモノを消す』のではなくて、『失われそうなモノを発掘することで、新たに蘇らせる』んだ。」
 アルがM.に言うと、遥が少し見直した感じで見つめる。M.が観念してアルに言う。
「負けたわ。ミーの完敗ね…。あんた、本当に、良い男だわ。」
「お前もな。初めに龍助を狙っていたら、もっと有利に戦いを進められたのにな。分かっていて、あえて、一番戦力になりそうな俺に向かってくるとは。戦術としては間違っているかもしれないが、戦士としては見直したぜ。しかし、残念だ。俺は…。」
「俺は、『セクシーでナイスバディーなレディー』がお好きなんでしょう?」
「あぁ、それと、じゃじゃ馬でキュートなガールだったら是非御一緒したいところだけどな。あ、もうご一緒しているぜ。じゃじゃ馬といえば遥が、うっ!」
 遥によって、みぞおちに拳が打ち込まれて、アルが片膝を付く。
 
「ナイスパンチね。あんたも。」
「M.さんもね。リコの盾じゃなかったら防ぎきれなかったわ。」
 にっこりと遥とM.がウインクする。
「しばらくしたら、結界が解けるから、自分で帰ってね。」
「あんた達は、何をしたいの?」
 M.が龍助たちに尋ねる。アルが答える。
「『仲間の夢を守りたい』、かな?」
「キザね…。でも、そういうの好きよ。ミーはますますA.のことが好きになりそう。」
 A.と言う名前を口にされて、アルが話題をそらすために慌ててしゃべる。
「あー、そ、そうだ、そろそろ行くぞ。長居していると、こいつの応援部隊が来ても困るしな。」
 

イラスト:hata_hataさん

「そうだね。武器は本当にごめんね。M.さん。こういった出会いじゃなかったら良かったのに。違った出会いだったら、一緒に音楽ができたかも。」
 龍助がリラをre-writeから開放して、なぜてやりながら話す。その優しい様子を見ながらM.が結界の中で少しうれしそうに言う。
「僕ちゃんは、音楽が好きなの?そう…。ミーの攻撃を音楽と言ってくれたのは、あなたが始めてよ。あなたも良い男になりそう。横のお嬢ちゃんも素敵な彼でうらやましいわ。」
「そ、そんなんじゃないの…。」
 遥が照れくさそうにもじもじとする。re-callから開放されたリコが彼女の肩に停まって、微笑む。
「それじゃぁ、俺達は行くぜ。また、左遷になってしまうだろうが、俺の中ではお前は『転属レジエンド』じゃないぜ。かなり変わり者だけど…、誇り高き『レジェンド』だ。」
 そう言うと、アルはメイヨウに飛び乗り、砂漠を東へ進んでいった。
 後に残ったM.はアルの言葉をかみ締めながら、小さく呟く。
「誇り高き『レジェンド』かぁ。それは、ミーじゃないわよ。あんたじゃない。A.…いや、今はトレジャーハンターのアル・レインだったわね。悔しいけど、ホント、いい男…。」
 
 
 砂漠を進みながら、アルがおどけた様子で話す。
「あんまりやばそうだから、そろそろ俺はおさらばしちゃおうかな。あ、でも、μって卵のことが気になるんだよなぁ…。」
「駄目だよ、あれは、持ち主が見つかるまでは、朱里が守っているんだから。」
 リラがアルのところに小さな翼でパタパタ飛んでいって注意する。アルはマシュマロを鞄から取り出して、リラの口に入れてあげる。すると、リラはもぐもぐしながら大人しくなった。朱里の胸に抱きしめられていたような優しい柔らかさと優しい香りで懐かしさに浸っていた。
「落し物だろう?なぁ、俺にくれよ。すごく興味があるし、高く売れるかも。そういうのに興味ある知り合いがいるんだよ。」
「誰よ、それ?」
 遥が尋ねる。
「秘密だ。お得意様だからな。俺のこの武器を作ってくれた人でもあるんだけど。恩人なんだ。」
「あんたの恩人なんて興味ないし、μって卵も朱里のものなんだから。」
 遥がそっけない態度であっさり答える。
 

イラスト:hata_hataさん

「それに、ここには無いしね。朱里が持って行っちゃたから。温かいんだぞ、それに抱いているととっても優しい気持ちになるんだ。」
 リラが口に入れてもらったマシュマロを食べてから言う。
「ますます、気になるぜ。しょうがない、もう少しお前達についていくとするか。一度見るだけでも良いから見てみたいんだよな。何というか、トレジャーハンターの血がうずくというか。そんな気持ち分かる?」
「分からない!分かりたくも無いし。」
 しつこいアルに遥がそっぽを向く。それを聞いていた龍助がぽつんと口を開く。
「僕はちょっとだけ分かる気がするかも。でも、トレジャーハンターじゃないから、違うのかも。」
「りゅ、龍助もちょっとそう思うの?そ、そうなんだ。」
 新たな龍助の一面を知って、遥がうれしそうにする。
 
「何、でれっとした、うれしそうな顔してるんだよ、遥。まるで、好きな人のことを新しくちょっと知ったときの女の子みたいじゃないか。まぁ、可愛いけどね。」
「な、何言っているのよ!!!さぁ、行くわよ!あんたは付いてきたいならちゃんとガイドしてよ。」
「はいはい、お嬢様。まるで、どこかの貴族みたいだね。」
 龍助とリラがアルに遥の素性が知れそうで冷やっとする。アルには、龍助たちの素性を伏せているからだった。城へ向かっているという理由も、なぜ魔界の兵士に追われているかも伏せていた。
 キメラのメイラスを龍助が止める。アルがそれに気付き、キメラのメイヨウを止めて尋ねる。
「どうした。龍助?休憩か?」
「ううん…。ごめん、遥ちゃん。やっぱり、アルに打ち明けよう。大切な仲間なんだし。僕達はアルに話しておかないといけないことがあるんだ…。」
 そして、龍助はおもむろにアルに事情を話し出した。アルは砂漠の風に吹かれながら、じっと聞いていた…。
 
 
to be continued...

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2月18日(水)よりドワンゴジェイピーにて特設ペー ジを設けていただき先行配信、2月25日(水)よりiTunesやAmazonほかを含む全 配信サイトにて一般配信開始!!『がくっぽいど(神威がくぽ) 6th Anniversary オリジナル楽曲』
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