Episode 012
悲しき想いと涙(中編)
music:[ETERNITY]
前回までの『L.D.C.』
遥の両親達であるディオール家の頭首達のもてなしで、傷ついた龍助と、落ち込んだ遥の心が少し癒された。別れ際、龍助は遥の父から柄の部分に『D.』の文字が刻まれた宝具の短剣を預かる。
彼らは、再び旅立つために街で補給も兼ねて龍助の服を購入することになった。
そこで、龍助たちにとって新たな出会いがあるのだった...。
「ど・れ・に・しようかな?う~ん、この服は何か野暮ったいわね。もっとハイセンスな服はこの店には無いの?」
「遥、お前なぁ。何を買いに来たか良く考えろ。」
「龍助の服でしょう?あ、あれはどうかしら。」
遥が町の道具屋で龍助の服を選んでいる。何着も男物の服を選んでは、その両手一杯に抱え込んでとても楽しそうにしていた。その姿は、つんとしたいつもの遥とは違って、ショッピングで楽しむ普通の女の子のように輝いていた。
「あー、どうしようもないな。あんな服ばかりをチョイスしているぞ。舞踏会の衣装を買いに来たんじゃないんだぜ。これからの旅に適した服を探しに来たんだろうに。なぁ、龍助。お前の服なんだから、ちゃんと言った方がいいんじゃないか?」
「あ、いやぁ…。せっかく遥ちゃんが選んでくれるっていうことだし。僕は、あまり良く分からないから…。それに遥ちゃん、なんだか楽しそうだし。それはそうと、アルはこれからどうするんだい?」
「そうだなぁ。俺はこの町までお前達を道案内する約束だったからな。朱里って女の子が持っているというμって記された卵を見てないしなぁ…。」
「ごめんね。こっちの約束は果たせてないね。僕らはあの卵を持っているわけじゃないから、何か代わりにお礼が出来ると良いんだけど。」
アルが鞄の中からクリスタルを取り出す。
「いや、このクリスタルのかけらで十分だ。お前達がいなかったら、あの遺跡でこれは手に入らなかったからな。ミーって自分のことを呼ぶおっかない奴にまだ追っかけられてたかもな。」
二人が笑う。
「なぁ、もう少しお前達に付いていっても良いかな?」
「えっ?僕らにとってそうしてくれると心強いけど…。でも、危険が付きまとうよ。」
「そうだな。もう魔界の兵士とも戦ってしまったしな。大きな鎌を持ったおっかない姉ちゃん達と。」
「ジャンヌさん…。」
龍助はJ.のことを思い出して、暴走した時の彼女を朱里と重ね合わせて寂しげな顔をする。
「まぁ、お前達といると何か危険が一杯な感じだが、その分ワクワクもするよな。また途中でお宝にも出会えるかも。トレジャーハンターを始めてからずっと独りで行動してきたからか、お前達と一緒にいると仲間がいるのも良いもんだなぁ、って感じるし。それに…、遥に約束したんだ。」
「約束?」
「お前は、J.に切られて気を失っていたんだったな。遥はがんばりやだから、あの小さい肩で何でもかんでもすぐに抱え込んでしまうだろう?お前も一人前になるためにがんばってるみたいだけど、まだまだ頼りないからな。俺が、遥や龍助たちを守ってやらなくては、って。いや、守りたいんだ。俺の大切な仲間を。」
「アル…。」
「なんてな。遥には今の台詞は内緒な。なんか照れくさいし。ちょっと俺、かっこよすぎ?」
いつももっと恥ずかしいことを言っているアルが気まずい感じで答える。どうやら、しばらくは龍助たちと旅を共にしてくれるようだ。龍助がアルに微笑む。
「じゃぁ、もう少しの間よろしくね。アル。」
手を差し出した龍助とアルが握手する。
「あぁ。そういえば、リラは何処へいったんだ。あいつにグミを買ってやる約束をしたっけ。このクリスタルのかけらを少し売って金に換えたら食べさせてやるか。ちょっと換金してくる。リラは食いしん坊だから食い物の棚の前にでもいるのかな?」
そう言いながら、クリスタルを換金が出来るカウンターを探しつつ店の奥へ歩いていった。
「龍助~!あんた早く来なさいよ。あたしがセンスのましなものを見繕ってあげたから、試着してみなさいよ。」
後ろの方から遥の明るい声が聞こえる。振り返ると、案の定、キラキラと飾りの付いた洋服を沢山抱え込んでいた。
「こんな高そうなのじゃなくて良いよ。と、いうか、僕は魔界のお金を持ってないから…。」
「大丈夫!あたしを誰だと思っているの?なんたって大貴族のディオール家の娘よ。この町一番の超お金もちなんだから。あんたは気にしないで、良・い・の!」
ひとまず、遥が選んだ服の中で一番地味なものを龍助が試着室で着て出てくる。
「どうかな?」
「う~ん、それよりも、こっちの方が良いかも。」
大貴族育ちのお嬢様の遥が選んだ服はどれも派手なものが多かった。
「いや、これで良いよ。」
「え~、これだけ選んだから、ちゃんと試着してじっくり選んだ方が良いよ。」
「あ、でも…。あれ?あそこにいるのはリラじゃないの?」
「本当ね。物陰から何を見ているのかしら。」
静かに龍助と遥がリラの後ろに近づく。リラの視線の先には、1つの籠があった。よく見ると、その中にはリラに似たドラゴンがすやすやと眠っていた。
「あんた、何こそこそと見てるのよ。」
「お、お、お、おいらは別に、あのドラゴンの子をずっと見ていたわけじゃないんだぞ。」
遥の声にびっくりして、慌てて言い訳をする。
「はは、リラ、それじゃぁ、ばればれだよ。」
龍助がリラの頭をなぜてあげてから、自分の左肩に乗せて、籠のそばへ寄ってみる。遥も後を付いていく。
二人と一匹はその籠の中のドラゴンを覗き込む。リラの様にドラゴンなのだが、リラと違ってとても柔らかそうな短い毛が生えていた。とても上品な感じである。リラは、ドキドキしながらその寝顔を覗き込んでいた。
「可愛いね。リラの友達になると良いね。」
「…。」
リラは完全に見惚れて言葉が出てこなかった。
龍助とその肩に停まったリラの姿を見て、遥が突然、思い立ったように話す。
「そのドラゴン、あたしが買う!籠にはメスのドラゴンで、リコって書いてあるわ。ちょっと高いけど、買えない額でもないし。」
「え?」
龍助とリラが驚いて遥を見る。彼らの声で、リコというメスのドラゴンが目を覚ます。
「ちょうどいいわ。リコ、遥が今日から飼い主よ。」
「リコをここから連れ出してくれるの?だったら、ご主人様に付いていくわ。」
遥がリコを籠から出して、龍助と同じように左肩にリコを乗せた。どうやら、遥はリラを連れた龍助とお揃えの格好をしたかったようだ。
「お、おいらリラ。よろしくな。」
リラが龍助の肩から乗り出すようにしてリコに手を振って自己紹介をする。
「リコはリラよりも、リラのご主人様の方が好きかも…。ぽっ。」
龍助を見て、照れるリコに慌てて遥がstopをかける。
「え、だ、駄目!!!龍助だけは駄目。そ、それに龍助には朱里がいるし。」
「そうなのですか、ご主人様。まことに残念ですが、ご主人様のおっしゃるとおりにしますわ。」
少し残念そうにリコがするが、遥の言うことは良く聞く良い子のようだった。龍助は遥とリコのやり取りを見ていたが、恐る恐るリラの方を見る。
「いや、あ、リラいじけないでね。元気出して…。」
龍助がリラを励ます。リコに見向きもされなかったリラは、龍助の髪に顔を押し当ててがっかりと沈んでいたのだった。
「なんだなんだ。お、珍しいなぁ。そのドラゴン、俺が買うよ。」
アルがクリスタルの一部を換金して、グミを購入した後に遥達の元に歩いてきた。
「駄目!もうあたしが連れて行くと決めたんだから!ねぇ、リコ。」
「はい~。遥様。」
「え~、珍しいから俺に譲ってくれよ。なぁ、遥~。」
結局、アルは却下されて、遥がリコを購入することになったのだった。
リラは、アルがグミをあげると機嫌を直した。
「で、龍助。お前、そんな服で旅を続けるつもりか?」
「え、遥ちゃんが選んでくれた服だし…。」
「あたしのセンスに文句があるの?それとも、リコを譲ってあげなかったから?」
「いや、そういうわけじゃないんだ。お前ら、こんな服じゃ、舞踏会で社交ダンスは踊れても、旅を続けられないぞ。それに、町を出たら、また危険なバトルがあるかもしれない。その時に、こんな衣装だと戦えないぞ。派手で目立ちすぎるから、すぐに敵に見つかってしまうかも。悪いことは言わん。もっと動きやすくて、丈夫なものにしておけ。そうだなぁ、例えば…あの服なんか良いと思うぞ。まぁ、これはトレジャーハンターとしての経験から言っているんだけど、龍助や遥がこの衣装の方が良いと言うんだったら、しょうがないが。」
アルが指差した服は遥の選んだものとは違い、機能的で旅に向いた服であった。
「確かに、これから、砂漠を越えて行くから、あたしが選んだ服では邪魔になってしまうわね。アルの言うのも一理あるわ。」
龍助と同じ様にドラゴンを肩に乗せて遥がご機嫌に言う。
「じゃぁ、アルのお勧めの服にするよ。」
「砂漠を行くなら、服と一緒に砂よけにマントみたいな被るものがあったほうが良いかも。よし、みんなでお揃えにするか?なぁ、遥?」
「まぁ、アルと一緒はあんまり気が進まないけど、そうしましょう。リラとリコ用の小さいサイズもありそうね。」
その後、魔界で旅をするために必要な道具や携帯用の食料などを買い込んで、準備を整えたのだった。
龍助たちが遥の生まれ育った町、ディクセンオールを出る時に、遥の右耳にしているディオール家の方具の一つである片方のピアスを見て、ふと人間界で龍助たちの帰りを待っている光や、高校のクラスメートのことを龍助が思い出した。遥がしているピアスのもう片方は護身用に光に持たせてあったのだった。
「うん?どうしたの龍助?」
「あ、いや。そのピアスって光に渡したもう片方だから、なんだか光は今どうしているかな?って思ったんだ。」
「そうね。佐伯君は多分大丈夫だと思うわよ。魔界もむやみやたらに一般人には手を出さないから。用心して護身用にこれと同じものを渡したんだし。それに、彼は龍助なんかよりもよっぽどしっかりしているから。あんたは、あたしが守ってやらないと危なっかしいからね。」
「本当、光は昔からしっかりしているんだ。特にお兄さんが亡くなってからは、より頼れる感じになったんだ。光が待っているから、朱里を助けてみんなで帰ろうね。」
そう言うと、空を見上げながら歩き出した。
その頃、人間界では、遥から預かった片方のピアスを付けた佐伯光がクラスメートと共に光のクラスの教室で昼ごはんを食べていた。
クラスメート達は、朱里が魔界へ投降する時に適応魔法の応用魔法を解除して朱里が人間界にいたという記憶はすっかり消えていた。そして、龍助たちが魔界へ朱里奪還のために旅立った日に、遥が広域の適応魔法の応用魔法をかけて、龍助や遥たちが存在していなかったようになっていた。勿論、光には魔法はかけないようにしているため、彼だけは人間界で龍助たちの無事を祈って待っているのだった。
龍助たちのことは心配だったが、光自身がいくら焦っても何も出来ないので、魔界の兵士などが来ないように用心をしながら、何事も無かったように振舞っていた。
「バイトの臨時収入が入ったんだよ。」
「お、光。ブルジョアな感じやないか?じゃぁ、おごってーや。」
光のカレーパンが二つあることに気が付いた一つ年上で先輩である裕二が、カレーパンを一つ手に取ろうとした瞬間、手の甲を千夏がつねってカレーパンは守られた。
「あんたね。先輩が後輩にたかってどうするの!みっともない!」
「そやな。千夏はんのいう通りや。じゃあ、今日じゃなくて、千夏がいないところでこっそり今度おごってや。」
「あほ!」
千夏が、突っ込むように裕二の頭を軽く小突く。
「痛いがな…。冗談や、冗談。」
頭をさすりながら裕二が苦笑いをする。千夏はむすっとしてお茶を飲んでいた。その様子を見ていた実が、千夏をライバル視するように光の前に食べかけのサンドイッチを持って出てきた。
「千夏のいうとおり。光様は私が守る!」
「お前もまた分からんこと言いはじめたな。あ、そうそう、みんなにはお袋からクッキーを預かってきたんだ。」
光が母親から預かってきたクッキーの包みを開けた。ぷーんと甘く香ばしい香りが教室中に広がる。
「放課後に食べようね。」
裕二が何か言おうとした瞬間、千夏が先手を打って言う。人見知りな性格の恵が無言で応える。
「…。」
どうやらうれしそうだ。実も前に乗り出すようにして元気よく応えた。
「あたいも食べるわよ。」
「じゃぁ、龍助のよく行ってた、屋上で食べるか!」
「!?」
光が裕二の発言にびっくりする。龍助のことを知っているのは、今はクラスメートの中に光だけのはずだからだ。
「何?龍助って誰だったかしら…?」
千夏が不思議そうに口を開くと、裕二がばつが悪そうに頭をかきながら卵焼きを食べてから言う。
「あ、いやいや間違い間違い。」
光は心の中で、「一色のかけた適応魔法で龍助の存在の記憶は、一時的に俺以外の仲間からは記憶がなくなっていると聞いたんだが、まさか、裕二先輩は記憶が消えてないのか?ひょっとしてまだこの他にも龍助たちの存在を知っている者がいたら、クラスメートのみんなに魔界からの脅威が迫る恐れがあるのか?」と、ポーカーフェイスを保ちつつ悩んでいた。裕二は何事もなかったようにいつもの調子で相変わらず受けないギャグを繰り出して、千夏と実に駄目だしを出されていた。しばらく、裕二には注意しておいたほうが良いと光は何か肌で感じていた。
少し離れたところからノートパソコンをいじりながら光達を見ている武司がいた。
「最近、クラスメートの南龍助の記憶が無くなっているのは何故なんだ…。龍助を覚えているのは、裕二さんだけなのか?それとも彼も勘違いなのか?あの、屋上に発生した魔方陣とその中に飛び込んで行った龍助とへんなトカゲのようなぬいぐるみ、そして一色遥。彼らは何者なんだ?佐伯もあの日、屋上にいたように見えたが別人なのか?」
武司は住んでいる高層マンションの窓から、校舎の屋上から魔界へ旅立つ龍助たちを目撃したのだった。勿論、彼にも遥が適応魔法の広域魔法をかけているので、龍助や遥の存在を忘れているはずなのだが、どうやら彼には効果がなかったのか、龍助のことを知っていたのだが、あまりに非現実的な世界を目の前にして誰にも相談していなかった。
「それよりも、何かとんでもないことが起こっているのか?なんなんだ、いったい…。何か恐ろしいことが始まろうとしているのか…?」
見えない恐怖の中で、武司はパソコンのキーボードを打つ指の力がカチカチと強くなっていた。
魔界では、龍助が指にはめている遥から預かっている指輪に紋章が浮き出していた。
「遥ちゃん、何かいるよ!」
「分かってるわ。あたし達はあんたと違って、ある程度の距離であれば魔力を察知できるの。」
遥の髪に隠れながら、小さなリコが警戒しながら話す。
「何かしら。ご主人様。リコは恐ろしゅうございます。」
龍助の肩に停まっているリラが目を閉じて集中する。
「龍助、おいらが考えるに、こいつはキメラだ。」
「そうだな。リラの言うとおりだ。それも野生のキメラだ。もともと飼われているキメラは人懐っこくて大人しい性格なんだが、野生化しているものはかなり荒々しくて攻撃的だからな。こいつみたいに兵器として魔界の保安局で秘かに合成獣を戦力として使うために調教したやつも危ないがな。」
アルが連れているキメラが雄たけびを上げないように首元を軽く叩いて緊張をほぐしてやる。
「気を付けよう。リラ、僕と一緒に戦って!」
リラがうなずいて、龍助の前に飛び出し、龍助が手にとって小さく叫ぶ。
「re-write!」
リラが光に包まれて剣にフォームチェンジする。今回は、長剣と短剣の二刀流ではなく、剣一本の第一段階のフォームチェンジだった。両手で龍助がリラの剣を構える。
「リコは大人しくあたしにくっついておいてね。」
「はい、ご主人様。」
遥はリコの喉元を優しくなでてあげた後で、ロッドを取り出し結界を張った。
アルも少し離れた木に自分達のキメラ一体に繋がれている紐を木に縛り付けて龍助と遥の前に立った。
「どうやら、一体だけじゃないみたいだな。数匹の群れみたいだ。」
「そうみたいね。アル、どうするの?」
「そうだな…。この森を抜けると砂漠だ。ちょうど良いから、もう一匹捕獲して乗り物にしよう。」
「野生のキメラよ!」
「大丈夫さ。俺様、前にも捕まえたことがあるから。その時は、噛み付かれて、足で蹴られて骨折という散々な結果だったが、今回は大丈夫!…な、はず。」
「『はず』って。アル、危険だよ。安全に逃げることを考えた方が。」
龍助が心配そうにアルを見る。
「龍助にとっても、少し訓練になるんじゃないか?」
「え?」
「お前さぁ、リラをまだ使いこなせてないから。もっと、効率よく使いこなせた方が良いだろ。だって、この後、龍助が遥を守ってやらないといけないだろ?お前も男だったら、遥にばっかり男前なところ見せられてばかりもいられないしな。遥は強がっているけど、本当は、可愛くてか弱いgirlなんだから。」
「こ、こんな時に、な、何言ってるのよ!アル!それに『本当は』って何よ。あたしは『可愛くてエレガントで強いの!』」
少し、むっとしながらも、氷属性の魔法攻撃の呪文を唱えようとした。しかし、アルが龍助の瞳を見て、すぐに制止する。
「おい、遥、ちょっと待った。龍助が本気モードだ。龍助は俺の言うとおりにしろ。遥と俺で援護してやる。良いな?」
龍助が少し緊張しながらも剣を握る手に力を入れた。遥も、龍助の意気込みに押される感じで援護に回ることにした。龍助は、朱里を助け出すためにはもっと強くならなくてはならないと思っていたので、アルの提案に従って訓練することにしたのだった。
「よし、少しリラとの適合率も上がってきているようだが、もう少し押さえろ。前にも言ったことがあるが、ただ魔力が強ければ強いわけじゃない。」
「生き残ったものが強いんだよね。」
「そう。そのためには、地の利や戦力,その他情勢をよく把握して瞬時に判断する。ここは森だ。野生化したキメラに比べて俺達は地の利的には不利だ。そこで、なるべく早く決着つける方法をとる。」
アルが龍助のそばに寄って話す。
「このキメラの場合、おそらく群れを成しているから、一番偉いボスを叩けば群れはおそらく大人しくなる。そして、お前はリラの剣でオーラを飛ばせる。本当は接近戦で剣の真の力が発揮されるんだけど、まだお前には危なっかしいから、中距離でオーラを飛ばして、キメラを弱らせる。他のキメラは、俺と遥で威嚇しておくから、龍助はボスだけを狙え。それから、遥!決して、龍助に他のキメラが襲い掛からないように援護してやれ。」
「うるさいわね。アルに言われなくったって分かっているわよ。本当だったらあたし一人で全部片付けられるんだから。」
「OK。肩の力を軽く抜いて、構えてみろ。そう。そんな感じだ。リラもがんばれよ。何かあったら、俺がすぐに守ってやるから、二人で気張ってこい!」
龍助の背中をアルが軽く叩いて、龍助がうなずく。
「遥、お前なぁ。何を買いに来たか良く考えろ。」
「龍助の服でしょう?あ、あれはどうかしら。」
遥が町の道具屋で龍助の服を選んでいる。何着も男物の服を選んでは、その両手一杯に抱え込んでとても楽しそうにしていた。その姿は、つんとしたいつもの遥とは違って、ショッピングで楽しむ普通の女の子のように輝いていた。
「あー、どうしようもないな。あんな服ばかりをチョイスしているぞ。舞踏会の衣装を買いに来たんじゃないんだぜ。これからの旅に適した服を探しに来たんだろうに。なぁ、龍助。お前の服なんだから、ちゃんと言った方がいいんじゃないか?」
「あ、いやぁ…。せっかく遥ちゃんが選んでくれるっていうことだし。僕は、あまり良く分からないから…。それに遥ちゃん、なんだか楽しそうだし。それはそうと、アルはこれからどうするんだい?」
「そうだなぁ。俺はこの町までお前達を道案内する約束だったからな。朱里って女の子が持っているというμって記された卵を見てないしなぁ…。」
「ごめんね。こっちの約束は果たせてないね。僕らはあの卵を持っているわけじゃないから、何か代わりにお礼が出来ると良いんだけど。」
アルが鞄の中からクリスタルを取り出す。
「いや、このクリスタルのかけらで十分だ。お前達がいなかったら、あの遺跡でこれは手に入らなかったからな。ミーって自分のことを呼ぶおっかない奴にまだ追っかけられてたかもな。」
二人が笑う。
「なぁ、もう少しお前達に付いていっても良いかな?」
「えっ?僕らにとってそうしてくれると心強いけど…。でも、危険が付きまとうよ。」
「そうだな。もう魔界の兵士とも戦ってしまったしな。大きな鎌を持ったおっかない姉ちゃん達と。」
「ジャンヌさん…。」
龍助はJ.のことを思い出して、暴走した時の彼女を朱里と重ね合わせて寂しげな顔をする。
「まぁ、お前達といると何か危険が一杯な感じだが、その分ワクワクもするよな。また途中でお宝にも出会えるかも。トレジャーハンターを始めてからずっと独りで行動してきたからか、お前達と一緒にいると仲間がいるのも良いもんだなぁ、って感じるし。それに…、遥に約束したんだ。」
「約束?」
「お前は、J.に切られて気を失っていたんだったな。遥はがんばりやだから、あの小さい肩で何でもかんでもすぐに抱え込んでしまうだろう?お前も一人前になるためにがんばってるみたいだけど、まだまだ頼りないからな。俺が、遥や龍助たちを守ってやらなくては、って。いや、守りたいんだ。俺の大切な仲間を。」
「アル…。」
「なんてな。遥には今の台詞は内緒な。なんか照れくさいし。ちょっと俺、かっこよすぎ?」
いつももっと恥ずかしいことを言っているアルが気まずい感じで答える。どうやら、しばらくは龍助たちと旅を共にしてくれるようだ。龍助がアルに微笑む。
「じゃぁ、もう少しの間よろしくね。アル。」
手を差し出した龍助とアルが握手する。
「あぁ。そういえば、リラは何処へいったんだ。あいつにグミを買ってやる約束をしたっけ。このクリスタルのかけらを少し売って金に換えたら食べさせてやるか。ちょっと換金してくる。リラは食いしん坊だから食い物の棚の前にでもいるのかな?」
そう言いながら、クリスタルを換金が出来るカウンターを探しつつ店の奥へ歩いていった。
「龍助~!あんた早く来なさいよ。あたしがセンスのましなものを見繕ってあげたから、試着してみなさいよ。」
後ろの方から遥の明るい声が聞こえる。振り返ると、案の定、キラキラと飾りの付いた洋服を沢山抱え込んでいた。
「こんな高そうなのじゃなくて良いよ。と、いうか、僕は魔界のお金を持ってないから…。」
「大丈夫!あたしを誰だと思っているの?なんたって大貴族のディオール家の娘よ。この町一番の超お金もちなんだから。あんたは気にしないで、良・い・の!」
ひとまず、遥が選んだ服の中で一番地味なものを龍助が試着室で着て出てくる。
「どうかな?」
「う~ん、それよりも、こっちの方が良いかも。」
大貴族育ちのお嬢様の遥が選んだ服はどれも派手なものが多かった。
「いや、これで良いよ。」
「え~、これだけ選んだから、ちゃんと試着してじっくり選んだ方が良いよ。」
「あ、でも…。あれ?あそこにいるのはリラじゃないの?」
「本当ね。物陰から何を見ているのかしら。」
静かに龍助と遥がリラの後ろに近づく。リラの視線の先には、1つの籠があった。よく見ると、その中にはリラに似たドラゴンがすやすやと眠っていた。
「あんた、何こそこそと見てるのよ。」
「お、お、お、おいらは別に、あのドラゴンの子をずっと見ていたわけじゃないんだぞ。」
遥の声にびっくりして、慌てて言い訳をする。
「はは、リラ、それじゃぁ、ばればれだよ。」
龍助がリラの頭をなぜてあげてから、自分の左肩に乗せて、籠のそばへ寄ってみる。遥も後を付いていく。
二人と一匹はその籠の中のドラゴンを覗き込む。リラの様にドラゴンなのだが、リラと違ってとても柔らかそうな短い毛が生えていた。とても上品な感じである。リラは、ドキドキしながらその寝顔を覗き込んでいた。
「可愛いね。リラの友達になると良いね。」
「…。」
リラは完全に見惚れて言葉が出てこなかった。
龍助とその肩に停まったリラの姿を見て、遥が突然、思い立ったように話す。
「そのドラゴン、あたしが買う!籠にはメスのドラゴンで、リコって書いてあるわ。ちょっと高いけど、買えない額でもないし。」
「え?」
龍助とリラが驚いて遥を見る。彼らの声で、リコというメスのドラゴンが目を覚ます。
「ちょうどいいわ。リコ、遥が今日から飼い主よ。」
「リコをここから連れ出してくれるの?だったら、ご主人様に付いていくわ。」
遥がリコを籠から出して、龍助と同じように左肩にリコを乗せた。どうやら、遥はリラを連れた龍助とお揃えの格好をしたかったようだ。
「お、おいらリラ。よろしくな。」
リラが龍助の肩から乗り出すようにしてリコに手を振って自己紹介をする。
「リコはリラよりも、リラのご主人様の方が好きかも…。ぽっ。」
龍助を見て、照れるリコに慌てて遥がstopをかける。
「え、だ、駄目!!!龍助だけは駄目。そ、それに龍助には朱里がいるし。」
「そうなのですか、ご主人様。まことに残念ですが、ご主人様のおっしゃるとおりにしますわ。」
少し残念そうにリコがするが、遥の言うことは良く聞く良い子のようだった。龍助は遥とリコのやり取りを見ていたが、恐る恐るリラの方を見る。
「いや、あ、リラいじけないでね。元気出して…。」
龍助がリラを励ます。リコに見向きもされなかったリラは、龍助の髪に顔を押し当ててがっかりと沈んでいたのだった。
「なんだなんだ。お、珍しいなぁ。そのドラゴン、俺が買うよ。」
アルがクリスタルの一部を換金して、グミを購入した後に遥達の元に歩いてきた。
「駄目!もうあたしが連れて行くと決めたんだから!ねぇ、リコ。」
「はい~。遥様。」
「え~、珍しいから俺に譲ってくれよ。なぁ、遥~。」
結局、アルは却下されて、遥がリコを購入することになったのだった。
リラは、アルがグミをあげると機嫌を直した。
「で、龍助。お前、そんな服で旅を続けるつもりか?」
「え、遥ちゃんが選んでくれた服だし…。」
「あたしのセンスに文句があるの?それとも、リコを譲ってあげなかったから?」
「いや、そういうわけじゃないんだ。お前ら、こんな服じゃ、舞踏会で社交ダンスは踊れても、旅を続けられないぞ。それに、町を出たら、また危険なバトルがあるかもしれない。その時に、こんな衣装だと戦えないぞ。派手で目立ちすぎるから、すぐに敵に見つかってしまうかも。悪いことは言わん。もっと動きやすくて、丈夫なものにしておけ。そうだなぁ、例えば…あの服なんか良いと思うぞ。まぁ、これはトレジャーハンターとしての経験から言っているんだけど、龍助や遥がこの衣装の方が良いと言うんだったら、しょうがないが。」
アルが指差した服は遥の選んだものとは違い、機能的で旅に向いた服であった。
「確かに、これから、砂漠を越えて行くから、あたしが選んだ服では邪魔になってしまうわね。アルの言うのも一理あるわ。」
龍助と同じ様にドラゴンを肩に乗せて遥がご機嫌に言う。
「じゃぁ、アルのお勧めの服にするよ。」
「砂漠を行くなら、服と一緒に砂よけにマントみたいな被るものがあったほうが良いかも。よし、みんなでお揃えにするか?なぁ、遥?」
「まぁ、アルと一緒はあんまり気が進まないけど、そうしましょう。リラとリコ用の小さいサイズもありそうね。」
その後、魔界で旅をするために必要な道具や携帯用の食料などを買い込んで、準備を整えたのだった。
龍助たちが遥の生まれ育った町、ディクセンオールを出る時に、遥の右耳にしているディオール家の方具の一つである片方のピアスを見て、ふと人間界で龍助たちの帰りを待っている光や、高校のクラスメートのことを龍助が思い出した。遥がしているピアスのもう片方は護身用に光に持たせてあったのだった。
「うん?どうしたの龍助?」
「あ、いや。そのピアスって光に渡したもう片方だから、なんだか光は今どうしているかな?って思ったんだ。」
「そうね。佐伯君は多分大丈夫だと思うわよ。魔界もむやみやたらに一般人には手を出さないから。用心して護身用にこれと同じものを渡したんだし。それに、彼は龍助なんかよりもよっぽどしっかりしているから。あんたは、あたしが守ってやらないと危なっかしいからね。」
「本当、光は昔からしっかりしているんだ。特にお兄さんが亡くなってからは、より頼れる感じになったんだ。光が待っているから、朱里を助けてみんなで帰ろうね。」
そう言うと、空を見上げながら歩き出した。
その頃、人間界では、遥から預かった片方のピアスを付けた佐伯光がクラスメートと共に光のクラスの教室で昼ごはんを食べていた。
クラスメート達は、朱里が魔界へ投降する時に適応魔法の応用魔法を解除して朱里が人間界にいたという記憶はすっかり消えていた。そして、龍助たちが魔界へ朱里奪還のために旅立った日に、遥が広域の適応魔法の応用魔法をかけて、龍助や遥たちが存在していなかったようになっていた。勿論、光には魔法はかけないようにしているため、彼だけは人間界で龍助たちの無事を祈って待っているのだった。
龍助たちのことは心配だったが、光自身がいくら焦っても何も出来ないので、魔界の兵士などが来ないように用心をしながら、何事も無かったように振舞っていた。
「バイトの臨時収入が入ったんだよ。」
「お、光。ブルジョアな感じやないか?じゃぁ、おごってーや。」
光のカレーパンが二つあることに気が付いた一つ年上で先輩である裕二が、カレーパンを一つ手に取ろうとした瞬間、手の甲を千夏がつねってカレーパンは守られた。
「あんたね。先輩が後輩にたかってどうするの!みっともない!」
「そやな。千夏はんのいう通りや。じゃあ、今日じゃなくて、千夏がいないところでこっそり今度おごってや。」
「あほ!」
千夏が、突っ込むように裕二の頭を軽く小突く。
「痛いがな…。冗談や、冗談。」
頭をさすりながら裕二が苦笑いをする。千夏はむすっとしてお茶を飲んでいた。その様子を見ていた実が、千夏をライバル視するように光の前に食べかけのサンドイッチを持って出てきた。
「千夏のいうとおり。光様は私が守る!」
「お前もまた分からんこと言いはじめたな。あ、そうそう、みんなにはお袋からクッキーを預かってきたんだ。」
光が母親から預かってきたクッキーの包みを開けた。ぷーんと甘く香ばしい香りが教室中に広がる。
「放課後に食べようね。」
裕二が何か言おうとした瞬間、千夏が先手を打って言う。人見知りな性格の恵が無言で応える。
「…。」
どうやらうれしそうだ。実も前に乗り出すようにして元気よく応えた。
「あたいも食べるわよ。」
「じゃぁ、龍助のよく行ってた、屋上で食べるか!」
「!?」
光が裕二の発言にびっくりする。龍助のことを知っているのは、今はクラスメートの中に光だけのはずだからだ。
「何?龍助って誰だったかしら…?」
千夏が不思議そうに口を開くと、裕二がばつが悪そうに頭をかきながら卵焼きを食べてから言う。
「あ、いやいや間違い間違い。」
光は心の中で、「一色のかけた適応魔法で龍助の存在の記憶は、一時的に俺以外の仲間からは記憶がなくなっていると聞いたんだが、まさか、裕二先輩は記憶が消えてないのか?ひょっとしてまだこの他にも龍助たちの存在を知っている者がいたら、クラスメートのみんなに魔界からの脅威が迫る恐れがあるのか?」と、ポーカーフェイスを保ちつつ悩んでいた。裕二は何事もなかったようにいつもの調子で相変わらず受けないギャグを繰り出して、千夏と実に駄目だしを出されていた。しばらく、裕二には注意しておいたほうが良いと光は何か肌で感じていた。
少し離れたところからノートパソコンをいじりながら光達を見ている武司がいた。
「最近、クラスメートの南龍助の記憶が無くなっているのは何故なんだ…。龍助を覚えているのは、裕二さんだけなのか?それとも彼も勘違いなのか?あの、屋上に発生した魔方陣とその中に飛び込んで行った龍助とへんなトカゲのようなぬいぐるみ、そして一色遥。彼らは何者なんだ?佐伯もあの日、屋上にいたように見えたが別人なのか?」
武司は住んでいる高層マンションの窓から、校舎の屋上から魔界へ旅立つ龍助たちを目撃したのだった。勿論、彼にも遥が適応魔法の広域魔法をかけているので、龍助や遥の存在を忘れているはずなのだが、どうやら彼には効果がなかったのか、龍助のことを知っていたのだが、あまりに非現実的な世界を目の前にして誰にも相談していなかった。
「それよりも、何かとんでもないことが起こっているのか?なんなんだ、いったい…。何か恐ろしいことが始まろうとしているのか…?」
見えない恐怖の中で、武司はパソコンのキーボードを打つ指の力がカチカチと強くなっていた。
魔界では、龍助が指にはめている遥から預かっている指輪に紋章が浮き出していた。
「遥ちゃん、何かいるよ!」
「分かってるわ。あたし達はあんたと違って、ある程度の距離であれば魔力を察知できるの。」
遥の髪に隠れながら、小さなリコが警戒しながら話す。
「何かしら。ご主人様。リコは恐ろしゅうございます。」
龍助の肩に停まっているリラが目を閉じて集中する。
「龍助、おいらが考えるに、こいつはキメラだ。」
「そうだな。リラの言うとおりだ。それも野生のキメラだ。もともと飼われているキメラは人懐っこくて大人しい性格なんだが、野生化しているものはかなり荒々しくて攻撃的だからな。こいつみたいに兵器として魔界の保安局で秘かに合成獣を戦力として使うために調教したやつも危ないがな。」
アルが連れているキメラが雄たけびを上げないように首元を軽く叩いて緊張をほぐしてやる。
「気を付けよう。リラ、僕と一緒に戦って!」
リラがうなずいて、龍助の前に飛び出し、龍助が手にとって小さく叫ぶ。
「re-write!」
イラスト:hata_hataさん
「リコは大人しくあたしにくっついておいてね。」
「はい、ご主人様。」
遥はリコの喉元を優しくなでてあげた後で、ロッドを取り出し結界を張った。
アルも少し離れた木に自分達のキメラ一体に繋がれている紐を木に縛り付けて龍助と遥の前に立った。
「どうやら、一体だけじゃないみたいだな。数匹の群れみたいだ。」
「そうみたいね。アル、どうするの?」
「そうだな…。この森を抜けると砂漠だ。ちょうど良いから、もう一匹捕獲して乗り物にしよう。」
「野生のキメラよ!」
「大丈夫さ。俺様、前にも捕まえたことがあるから。その時は、噛み付かれて、足で蹴られて骨折という散々な結果だったが、今回は大丈夫!…な、はず。」
「『はず』って。アル、危険だよ。安全に逃げることを考えた方が。」
龍助が心配そうにアルを見る。
「龍助にとっても、少し訓練になるんじゃないか?」
「え?」
「お前さぁ、リラをまだ使いこなせてないから。もっと、効率よく使いこなせた方が良いだろ。だって、この後、龍助が遥を守ってやらないといけないだろ?お前も男だったら、遥にばっかり男前なところ見せられてばかりもいられないしな。遥は強がっているけど、本当は、可愛くてか弱いgirlなんだから。」
「こ、こんな時に、な、何言ってるのよ!アル!それに『本当は』って何よ。あたしは『可愛くてエレガントで強いの!』」
少し、むっとしながらも、氷属性の魔法攻撃の呪文を唱えようとした。しかし、アルが龍助の瞳を見て、すぐに制止する。
「おい、遥、ちょっと待った。龍助が本気モードだ。龍助は俺の言うとおりにしろ。遥と俺で援護してやる。良いな?」
龍助が少し緊張しながらも剣を握る手に力を入れた。遥も、龍助の意気込みに押される感じで援護に回ることにした。龍助は、朱里を助け出すためにはもっと強くならなくてはならないと思っていたので、アルの提案に従って訓練することにしたのだった。
イラスト:hata_hataさん
「生き残ったものが強いんだよね。」
「そう。そのためには、地の利や戦力,その他情勢をよく把握して瞬時に判断する。ここは森だ。野生化したキメラに比べて俺達は地の利的には不利だ。そこで、なるべく早く決着つける方法をとる。」
アルが龍助のそばに寄って話す。
「このキメラの場合、おそらく群れを成しているから、一番偉いボスを叩けば群れはおそらく大人しくなる。そして、お前はリラの剣でオーラを飛ばせる。本当は接近戦で剣の真の力が発揮されるんだけど、まだお前には危なっかしいから、中距離でオーラを飛ばして、キメラを弱らせる。他のキメラは、俺と遥で威嚇しておくから、龍助はボスだけを狙え。それから、遥!決して、龍助に他のキメラが襲い掛からないように援護してやれ。」
「うるさいわね。アルに言われなくったって分かっているわよ。本当だったらあたし一人で全部片付けられるんだから。」
「OK。肩の力を軽く抜いて、構えてみろ。そう。そんな感じだ。リラもがんばれよ。何かあったら、俺がすぐに守ってやるから、二人で気張ってこい!」
龍助の背中をアルが軽く叩いて、龍助がうなずく。
to be continued...
- 世界
- 属性
- 魔方陣
- 情報
- 宝具[L.D.C.]
- Espoir01
- Espoir02
- Espoir03
- Espoir04
- Espoir05
- Espoir06
イラスト:hata_hataさん
■Episode 001:
♪:[blue]
■Episode 002:
♪:[light pink -I love you.-]
■Episode 003:
♪:[nu.ku.mo.ri.]
■Episode 004:
♪:[real]
■Episode 005:
♪:[color]
■Episode 006:
♪:[my wings]
■Episode 007:
♪:[I'll be there soon.(すぐ行くよ)]
■Episode 008:
♪:[promise]
イラスト:hata_hataさん
■Episode 009:
♪:[Dancing in the night!]
■Episode 010:
♪:[月影の唄]
■Episode 011:
♪:[Burning Love]
■Episode 012:
♪:[ETERNITY]
■Episode 013:
♪:[ときめき]
■Episode 014:
♪:[flower's song]
■Episode 015:
♪:[baby baby]
■Episode 016:
♪:[your breath]
イラスト:hata_hataさん
■Episode 017:
♪:[ドキ×2]
■Episode 018:
♪:[let it go!!]
■Episode 019:
♪:[N]
■Episode 020:
♪:[tears in love]
♪:[destiny]
■Episode 021:
♪:[Touch to your heart!]
♪:[you and me]
■Episode 022:
♪:[Happy Happy Love]
■Episode 023:
♪:[INFINITY]
■Episode 024:
♪:[さぁ、行くよ! \(@^▽^@)/♪]
■Episode 025:
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[interrupt feat.神威がくぽ] shin
音楽配信:VOCALOTRACKS
VOCALOTRACKS様にてがくっぽいど曲1曲iTunesほか各配信サイトへ2018年11月21日配信開始!!『がくっぽいど(神威がくぽ) 10th Anniversary オリジナル楽曲』
(楽曲:shin イラスト:hata_hata様)
[above feat.神威がくぽ] shin
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音楽配信:VOCALOTRACKS
VOCALOTRACKS様にてがくっぽいど曲をiTunesやAmazonほかを含む全 配信サイトにて一般配信中!!『がくっぽいど(神威がくぽ) Anniversary オリジナル楽曲』
(楽曲:shin イラスト:hata_hata様)
リコ(ドラゴンの姿ver.)
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