Episode 018
バンドやろうよ(中編)

music:[let it go!!]


前回までの『L.D.C.』

 人間界で生活をしていた南龍助は、魔界から来た少女、麻宮朱里と出会う。そして、一度は魔界に二人は引き離されたのだが、仲間と共に魔界を旅して立ち向かい彼女を取り戻し、再び人間界で夢を追いかけることになった。
 
 放課後に、龍助と朱里がクラスメートの伊集院実にドラムの演奏を見せてもらう約束をした。二人は、実が部長を務める軽音楽部へ行くが、彼は部室へまだ来ていなかった。しばらく彼を待っていたが、朱里は校内放送で教官室へ呼び出されて出て行った。
 
 そして、しばらく経って、二人にドラムミングを見せるべく龍助が一人待つ部室へ実が意気揚々と部室へ登場したのだったが...。

「二人に、あたいのドラミングを見せてあげるわよ!…って、朱里ちゃんは?」
 龍助と朱里にドラムの練習の成果を見せるべく、勢い良く部室へ飛び込んできた実が部室を見渡す。
「あぁ、さっき稲葉先生に校内放送で呼び出されて行ってしまったよ。麻宮さん、さっきまで居たんだけど。また遊びに来たい、って残念そうにしていたんだ。」
「そ、そう…。入れ違いだったのね。先生の呼び出しだったらしょうがないわね。まぁ、朱里ちゃんには今度、聞かせてあげるわ。今日は、龍助君のためだけに聞かせてあげるわ。二人っきりだし。」
「あ、ありがとう…。」
 実をがっかりさせない様に気を使いながら、龍助が苦笑いする。実がドラムセットの前に来たので、龍助が席を譲る。愛用のドラムスティックを取り出し、ドラムセットのセッティングを少し調整したら、実はドラムを叩き始めた。
 まだドラムの練習を始めて日が浅いにも拘らず、彼はタイトに、そして力強くドラミングをこなしていた。勿論、どことなく荒さはあるのだが、武司が音楽の授業で実のリズム感を見抜き、勧めただけあって、ドラムに向いていた様だった。真剣な中にも楽しそうにドラムを叩く実を見て、龍助もより一層、音楽をしたいと思ったのだった。
 
「今のが、8ビートがメインのドラミングね。教則本を買って勉強中なんだけど、8分音符がメインのフレーズ。一般的な楽曲の4分の4っていうのが、1小節に4分音符が4つ入っている感じなんだけど、4分音符を半分にしたのが8分音符ね。まぁ、8分の8も4分の4も同じ様な感じみたい。数学とおんなじね。その曲のメインが8分音符で出来ていると8分の8表記でも良さそうだけど、まぁ、簡略化して4分の4か「C」でバンドスコアに表記されていることが多いわ。ちなみに、この場合、一小節に8分音符が8個入るからチチチチチチチチって感じかな。」
 ドラムの手元にあるシンバルの様な小さな金物が二つ重なっているハイハットをスティックで軽く叩きながら話す。龍助がうなずきながら聞いている。
「へぇ~。」

「で、16ビートはこんな感じの16分音符がメインのフレーズ。8部音符の更に半分が16分音符だから、チキチキチキチキ・チキチキチキチキって感じね。あたいは、まだ16ビートは、あんまり練習していないからあまり叩けないけど。まずは、基礎の8ビートをしっかり練習中なの。」
「すごい、すごい。短期間にここまでドラムを叩けるようになるって。」
 龍助が身を乗り出して実を褒めると、実がうれしそうにスティックを回す。
 
「そうでしょう。あたいはドラマーになるために生まれてきたんだ、って言ったら大げさだと光様に馬鹿にされそうだけど、ドラムが向いていて好きみたい。龍助君と楽器屋へ行ってドラムを始めようと思ってから、時々、あの楽器屋で教えてもらってるの。スティックと家で練習出来る様に練習台を買ったんだけど、その時にイケメンの店員さんから何か分からないことがあったら何でも聞いて、って言ってもらったから。今日も練習が終わったら成果を報告へ行くわ。」
 ドラムの練習に精が出ていたのは、イケメンの店員さんのお陰もあるかも、と龍助が苦笑いをする。
 

イラスト:hata_hataさん

「僕もあれから、武司君が勧めてくれた楽器を買ったんだよ。シンセサイザー。僕は音楽の授業ぐらいしか音楽の経験ないから、あまり弾けなくてもパソコンなどを使って音楽を楽しめるD.T.M.をやろうと思ったんだけど、実君のドラムを今見せてもらったら、ますます音楽がやりたくなってきたよ。」
「でしょう?まぁ、D.T.M.…、デス・トラップ・モンスター?あれも一人で音楽できて便利そうだけど、やっぱりせっかく楽しむんだったらみんなで音楽をして楽しみたいものね。」
 D.T.M.の略を間違えて話す実に、龍助が訂正をかけながら、音楽話で盛り上がる。
「あぁ…。D.T.M.はデスク・トップ・ミュージックだよ。みんなで音楽を楽しみたいね。でも、D.T.M.も取り入れると、人数が少なくても足りないパートを演奏させることが出来るから、練習もより楽しくなりそうだし、バンドも聞き応えがするかも。」
「なるほど。そう言われれば、そうね。あたい、ドラムの練習をカチカチいう振り子の様なメトロノームに合わせてやっていたんだけど、他のパートを流しながら一緒に練習できると良いわ。光様がギター演奏を録音していれば、いつでもそれを再生してずっと光様の演奏に合わせて叩いていそう。ナイス、アイデアね。D.T.M.も見直したわ。」
「ははは。ま、まぁ、色々、柔軟に取り入れながら、より音楽を楽しめる様になると良いね。」
 
「ねぇ、龍助も少しはキーボードの練習をしているんでしょう?何か弾いてみてよ。コードだけでも良いから。」
「まだ、ほんのちょっとだけだよ。」
 龍助がキーボードのところへ行くと、実が部室の機材の電源を入れて音が出るようにセッティングしてくれた。
 キーボードを前に龍助が何を弾こうかな?と考えた時、先ほど朱里が歌っていた[let it go!!]が頭をよぎった。
「原曲はギターがメインの曲なんだけど、[let it go!!]って明るい曲をピアノで。」
「それ知ってるわよ!!」
 メロやギターのリードの主旋律を口ずさみながら龍助が弾き始める。すると、実がそれに合わせてドラムを叩き始めた。
 
「とびだそう let it go!!
宝の島 探して
このまま let it go!!
心の翼 拡げ
 
とびだそう let it go!!
宝の島 目指して
このまま let it go!!
心の翼 羽ばたけ」
 
 ところどころ間違えつつも龍助は口ずさみながらキーボードを演奏し、実とのセッションを楽しんだのだった。まだピアノとドラムだけの構成でオケとしては、バンドには程遠く物足りないのだが、二人にとっては音楽の楽しさを味わうのに十分で、何か心の中にワクワクするものを感じられた。
「良いんじゃない?好いんじゃない?楽しいじゃない?」
「そうだね。僕も楽しかったよ。」
 まだ音楽の勉強を始めたばかりで大それたことだとは思ったが、龍助が思わず口にした。
「ねぇ、実君!もし良かったら僕と一緒にバンドかユニットしようよ。」
 その言葉を聞くと、実が人差し指を頭上に掲げるようにして言った。
「勿論、そのつもりよ!本当は、誘ってくれるのをずっと待ってた。龍助も軽音楽部に入部決定!!」
「よろしくね。」
 二人がにっこり微笑み合う。
「バンドといったら、ギターも欲しいわ。光様もギターで誘いましょう!」
「うん、そうしたいんだけど、光はテニス部が忙しいから…。」
 龍助が一度誘った経緯を説明した。
「そう…ね…。光様はテニス部の期待の新人だから、邪魔してもね。あたいもテニスのラケットを持って輝いている光様も見ていたいし。」
「たまに遊びに来たいかも、とは言っていたから、また誘ってみようよ。別に部員じゃないと一緒に音楽出来ない訳じゃないんだから。まずは、僕達が練習して上手くなろうよ。」
「龍助君、相変わらず良いこと言うじゃないの。」
 
「でも、二人じゃバンドじゃないわね?」
「ユニット…かな?でも、まだ誘いたい人が何人かいるんだ。」
「龍助君も意外と欲張りじゃないの。人数が多い方が楽しいから大歓迎!」
 少しもじもじしながら龍助が話しだす。
「う、歌はね…。」
「朱里ちゃんでしょう?龍助君を見ていたらすぐ分かっちゃう。まぁ、彼女はラクロス部で忙しそうだけど、音楽の授業でも歌が上手だから問題ないわ。本当だったら、イケメンの男性ボーカリストを発掘したかったけど。」
「は…は…は…。それから、もう一人は男子。」
「男の子?誰?あたいが知っている?イケメン?」
 実が、矢継ぎ早に問いかける。
 
「武司君。」
「武司って、『歩く電脳』?あんた、本気?」
 驚く実が龍助に尋ねる。
「本気なんだけど…。」
「駄目、駄目。彼は一人が好きだし、バンドが暗く成っちゃうし。それに…。あたい達と音楽レベルが違いそう。プライド高そうだから。きっと、一緒になんてやらないわよ。」
「そうかな…。だったら、練習して上手くなろうよ。彼は、実君にドラムの素質があることも見抜いて勧めてくれたし、D.T.M.にも詳しいし、きっと頼りになる人だよ!!」
 龍助の押しに実も折れる形で答える。
「まぁ、龍助君がそんなに言うんだったら『歩く電脳』も考えてみるわ…。どっちみち、練習して上達して光様にも、あっと言わせたいし。そして、あたいのグルーヴィーなドラミングで光様にもギターを弾きたくさせるわ。」
「期待しているよ。僕もがんばらなくっちゃ。」
 
 龍助達の練習している姿を部室の外から見つめている者がいた。武司だった。一つ先輩の裕二に実のドラムの成果を見てあげるように頼まれたのだが、約束せずに無言で立ち去ったものの、なんだか気になってそっと様子を見に来たのだった。
「まだまだリズムのばらつきがひどくてグルーヴという感じではないけど、初心者にしては、まぁよくやっている方だね。まぁ、彼は音程のひどい歌よりはどちらかというとドラムに向いていると思ってたけど、その通りだったようだ…。」
 そう一人囁くと、メガネの中央を人差し指で触って、ほんの少し口元に笑みを浮かべて、気付かれないように立ち去ったのだった。
 
 
 その頃、朱里は遥達とラクロス部の練習をしていた。
 ラクロス部の部員は、クロスと呼ばれる網の付いたスティックを持って運動場を元気に走り回っていた。一年で運動神経抜群な千夏が部長を務めており、彼女の声の指示が飛ぶ。
「そこ!もっと、速く!!モタモタしない!!次、遥!」
「はい!」
 遥が走りこんで、フィールドで朱里からのアシストを貰って、クロスの先についている網の中でボールを揺らすクレードルという遠心力を利用したラクロス特有の動作をしながら、目の前のディフェンス役の部員二人を引き付ける。そして、フェイントをかけて一瞬の隙を突くと、華麗なステップで交わした。その直後、一度強く踏み込んでから力強くクロスを振る。彼女の髪が揺れて、汗が煌いて輝く。そして、放たれたボールがゴールを守るゴーリーというポジションの部員の横を勢い良く通り過ぎ、ゴールに吸い込まれるようにゴールする。
「遥、ナイスプレイ!良いよ!みんなももっと遥を見習ってね。」
「はい!!!」
 部員が返事をする。負けず嫌いで、部活後にもひとり残って練習をしてきた遥は、爽やかな表情で髪に手をやって乱れを少し直した。すると、後ろから朱里が飛びつく。
「さすが遥ちゃん。すごいね。」
「まぁ、大したことないわよ。あんたのアシストが良いから。」
「ううん。遥ちゃん、いつも一番練習がんばっているから、その成果だよ。」
 そう言うと、朱里がうれしそうにぎゅっと遥を抱きしめる。遥も自分の努力を朱里に認められて少し照れくさそうに頬をちょっぴり赤くして微笑んだ。
 
 しかし、次の瞬間、突然、何か異変に気付き遥が朱里に小さな声で囁いた。
「朱里、感じる?」
「うん。この魔力は魔界の魔獣の感じ。みんなを非難させないと。」
 朱里が振り返り、千夏達に非難をさせようとした時、遥が朱里の手をぎゅっと握って引き止める。
「いいえ、あたし達で対処しましょう。魔界のことを知らない人々に下手に魔獣のことを知らせて混乱させるより、このくらいの魔力の魔獣だったらあたし一人でも退治するのは十分よ。」
 そう囁くと、遥は千夏に向かって大声で言った。
「痛い!さっき、少し足をくじいちゃったみたい。部長、ちょっと保健室へ行ってくるわ。」
「大丈夫?練習試合が近いのに無理しすぎたんじゃない?」
「大丈夫、大したことないわ。朱里が付き添ってくれるっていうから、みんなは練習を続けていてください。」
 千夏に許可をとって、朱里と遥は校舎裏の魔獣の魔力を感じる方へ向かったのだった。
 
 
 二人が校舎の裏に入って、見渡すと空間が数メートルに渡って少し揺れている。
「あそこだわ!!」
 人間界の人間がいないことを確認すると、すぐに、遥は人間界で人間に姿が見えるように魔力を抑えていた適応魔法を解除して、デビルモードへモードチェンジする。
 朱里も遥に続き、デビルモードへモードチェンジする。朱里は魔族でも珍しく魔力を抑えることで髪の色が変化する。人間界に適応させるための魔力を抑えた状態では、明るい茶色の髪色だが、魔力を少し開放したデビルモードでは髪は明るくキュートなピンク色になる。そして、魔力を全て開放した真のデビルモードでは、綺麗な澄んだ水色の髪色になり、表情も少しクールになるのだった。今は、朱里は魔力を少し開放したピンク色の髪のデビルモードで待機した。
 

イラスト:hata_hataさん

「行くわよ、リコ!朱里、アシストお願いね。」
 遥が、小さな可愛いドラゴンのフォームをしていたリコを、持ってきた鞄から取り出して頭上へ掲げた。
「ハイですの。ご主人様。」
 リコがうなずくと、遥が叫ぶ。
「re-call!」
 リコが光包まれて、肩にかかる縦長い縦の形にフォームチェンジし、遥の左手に装着された。そして、遥は右手にロッドを取り出して構える。朱里も持ってきた鞄の中からリラを取り出して右手で持つ。
「リラ、お願い。」
「よしきた!おいらに任せろ!二人とも気をつけてな。」
「re-write!」
 朱里が叫ぶと、小さな可愛いドラゴンのフォームをしていたリラが光包まれて、二本の剣のフォームへフォームチェンジして、右手に長剣、左手に短剣を持って遥の後方に構える。
 
 空間の裂け目から、少しずつ魔獣が姿を現す。心の声で朱里達に剣のフォームのリラが声をかける。
「おい、魔獣でもないぞ。こいつ、キメラだ。どうして、魔力の低いキメラが人間界へ迷い込むことが出来るんだ!!なぁ?」
「知らないわよ、あたしだって!!」
 苛立つ遥にリコが心の声でなだめる。キメラは合成獣で、主に魔界で乗り物やペットとして飼われているケースが多いのだが、中には逃げ出して魔界で野生化した物もいる。
「遥様、落ち着いてくださいませ。異世界を区切っている壁が弱っているのかもしれませんわ?」

イラスト:hata_hataさん

 朱里も空間の亀裂が見えるように少し左に動きながら話す。
「何が起こっているか私達には分からないけれど、今は遥ちゃんと私達で人間界のみんなを守らないと。」
「いずれにしても、キメラが迷い込んだのには間違いないし、どうやら大人しく帰ってくれる感じでもなさそうだわ!」
 遥が叫ぶと、亀裂から氷攻撃魔法の氷の槍が飛んできた。遥がすぐに氷系の防御魔法を唱えて結界を張り、氷の壁で防ごうとする。しかし、続いて二度目の氷の槍が襲い掛かり、壁を崩して遥達に襲い掛かる。遥が、リコの盾で数本弾き飛ばして、朱里が残りの槍を長剣と短剣を使って叩き落した。
「ちっ、やるわね。同じ氷属性者とは。油断は禁物ってことね。」
「キメラにしては少し魔力が高いよ、遥ちゃん。気をつけてね。」
 
 キメラが大きな声で威嚇した後、亀裂を破って人間界へ飛び込んできた。

イラスト:hata_hataさん

「来るわよ!!」
 遥が氷属性の防御魔法を再度唱えて結界を張ると、続いてロッドを大きく右前方で振り回しながら呪文を唱えた。遥が繰り出した魔法は火属性の火の玉だった。火属性は氷属性より優位なので、遥はあえて得意とする自分の属性の氷属性攻撃魔法ではなく、火属性の魔法攻撃を仕掛けることにしたのだった。
 三つの火の玉がキメラに向かって降り注ぎ、キメラは前足で振り払った。
 すると、火の玉に気を取られているキメラの隙を突いて、朱里が飛び出した。キメラの前で一度強く地面をけって高く飛び、宙返りをしてキメラの向こう側へ着地する。
「遥ちゃん、挟み込んだわよ。これ以上、人間界へは進ませない!」
 
 遥がロッドを更に数回振って呪文を唱え、火の玉を数発キメラに向けて放つ。キメラが火の玉を避けながら遥に向かってくる。
「何よ!あたしが手加減してやっていたら調子に乗っちゃってー!」
 遥が中央でロッドを振りかざして大きな火の玉の魔法をキメラへ向けて繰り出した。
 キメラが大きな声で叫んで、氷の矢を10本ほど放つと大きな火の玉を粉砕しようとしたが、遥の魔法の方が火属性で属性の優位性で1レベル優位だった分、火の玉は押し返されずキメラに命中する。ギャー、というキメラの大きな悲鳴がした。しかし、数本すり抜けてきた氷の矢が遥の足にかすって、遥が倒れる。
「しまった!」
 尽かさず、キメラが遥の頭上へ襲いかかろうと飛び上がっていた。目を瞑った遥の前でキメラがうめき声を上げながら地面に叩きつけられていた。
「遥ちゃん!大丈夫?」
 朱里がとっさに、長剣でキメラの尻尾ごと地面に突き刺して、それ以上前に飛び出せないようにし、短剣でキメラの左足を切りつけたのだった。
 
「やるじゃない。朱里も。礼は言っておくわ。うっ。」
 ゆっくり立ち上がりながら遥は礼を言ったが、足の怪我が少し深いようだ。
「遥ちゃん、後は私に任して!!」
 そう言うと、朱里は瞳を閉じて、更に魔力を開放する。光包まれてモードチェンジし、水色の髪のデビルモードの姿になった。ゆっくりと瞳を開けると、その瞳には名前の一文字である「朱」の様に赤い色になっている。
 キメラが朱里の魔力の増大を感じ取り、慌てて尻尾に刺さっている長剣を抜こうとじたばたする。

イラスト:hata_hataさん

「あら?何をそんなに慌ててるの?さっきまでの強気な感じはどうしたのかしら?」
 魔力を全て開放して、クールになった朱里が少しずつ近寄る。キメラが接近する朱里に前足による二度の攻撃をするが、短剣でさらりと流す。そして、キメラの三度目の前足の攻撃を素手の右手で止めた。キメラの力が朱里よりも強く、少しだけ後ろへ地面をずる形で押し戻された。
「まだやるの?大人しく魔界へ帰りなさい。」
 朱里が言うと、キメラは氷属性の柱で朱里を取り囲んで凍りつかそうとしたが、デビルモードの朱里は火属性の属性でもあり、更に武器などを使った攻撃だけでなく、魔法も得意としているので、全身を火属性の防御魔法で覆いあっという間に崩した。
 
 それを見たキメラは鳴き声を変えて三度鳴いた。
「やばい、こいつ、仲間を呼んだぞ!」

イラスト:hata_hataさん

 リラが心の声で叫んだ。その瞬間、空間の裂け目が更に大きく裂けて一回り大きなキメラが現れ朱里に目掛けて、水属性の攻撃魔法で朱里を押し流した。不意を突かれ、リラの短剣も手放してしまった。足場が水圧でバランスを崩した時に、更に二度目の水属性の攻撃が繰り出される。
「きゃぁ!」
 朱里が壁に叩きつけられて気を失う。髪の色がピンクに戻ってしまった。すぐに遥が朱里の側に移動して、彼女を抱きかかえるようにしてリコの盾で防戦する。先ほどキメラに足の傷を負わされて負傷しているため、痛みに口元を歪ませながら遥が耐えている。
「遥様!このままでは朱里様をお守りしているだけで、遥様も魔力をすぐに消費してしまいます。お二人とも一時脱出を。せめて遥様だけでも。」
「分が悪いことぐらい、分かってるわよ!でも、あたしだけが脱出するなんて出来ないのよ。あたしにとって大切な親友だし、仲間であり、それに恋のライバルだから!!!」
 リコの心の声によるアドバイスを跳ね除け、遥が気を失った朱里を抱いた状態で、必死に水属性の大きなキメラからの攻撃を防ぐべく、水属性に優位な雷属性の防御魔法を唱えて雷の壁を作る。横を見ると、小さなキメラがもう一匹出てきて三匹で遥達を取り囲んでいた。
「さっきは、あたしと朱里で一匹を囲んでいたのに、今度は二人が三匹に囲まれちゃって一気に立場逆転ってことね。万事休すだわ…。龍助、助けて…。」
 
 
to be continued...

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イラスト:hata_hataさん

■Episode 001:

♪:[blue]

■Episode 002:

♪:[light pink -I love you.-]

■Episode 003:

♪:[nu.ku.mo.ri.]

■Episode 004:

♪:[real]

■Episode 005:

♪:[color]

■Episode 006:

♪:[my wings]

■Episode 007:

♪:[I'll be there soon.(すぐ行くよ)]

■Episode 008:

♪:[promise]

イラスト:hata_hataさん

■Episode 017:

♪:[ドキ×2]

■Episode 018:

♪:[let it go!!]

■Episode 019:

♪:[N]

■Episode 020:

♪:[tears in love]
♪:[destiny]

■Episode 021:

♪:[Touch to your heart!]
♪:[you and me]

■Episode 022:

♪:[Happy Happy Love]

■Episode 023:

♪:[INFINITY]

■Episode 024:

♪:[さぁ、行くよ! \(@^▽^@)/♪]

■Episode 025:

♪:[pain]

イラスト:hata_hataさん

:シナリオ公開中
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:シナリオ執筆中
:シナリオ執筆予定

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"音楽配信Link-11" 

[interrupt feat.神威がくぽ] shin


音楽配信:VOCALOTRACKS
VOCALOTRACKS様にてがくっぽいど曲1曲iTunesほか各配信サイトへ2018年11月21日配信開始!!『がくっぽいど(神威がくぽ) 10th Anniversary オリジナル楽曲』
(楽曲:shin イラスト:hata_hata様)

 

[above feat.神威がくぽ] shin


[HEAVENLY feat.神威がくぽ] shin 


[initiative feat.神威がくぽ] shin 


[Breaker feat.神威がくぽ] shin


[Come on! feat.神威がくぽ] shin


[departure feat.神威がくぽ] shin


[Lock on feat.神威がくぽ] shin


[monologue feat.神威がくぽ] shin


[reduction feat.神威がくぽ] shin


[voice feat.神威がくぽ] shin


音楽配信:VOCALOTRACKS
VOCALOTRACKS様にてがくっぽいど曲をiTunesやAmazonほかを含む全 配信サイトにて一般配信中!!『がくっぽいど(神威がくぽ) Anniversary オリジナル楽曲』
(楽曲:shin イラスト:hata_hata様)

CIRCLE[shin entertainment]

南龍助(学生服姿)

イラスト:hata_hataさん